中銀総裁、景気刺激のため追加の利下げ示唆

(ロシア)

欧州ロシアCIS課

2022年04月25日

ロシア中央銀行のエリビラ・ナビウリナ総裁は4月18日、下院で行われた金融市場委員会と、予算・租税委員会、経済政策委員会、監督委員会の合同会合で、追加の利下げを示唆した。この背景の1つには、2月下旬から3月上旬にかけてインフレ率が急上昇して通貨ルーブルが暴落する中、国民は信用不安により銀行から2兆4,000億ルーブル(約3兆8,400億円、1ルーブル=約1.6円)もの預金を引き出していたが、金融の引き締め効果により銀行に預金が戻され、銀行の貸し出し原資が整いつつあることだと述べている。

3月のインフレ率は前年同月比16.7%(前月比7.6%)と高い水準にあるが、ナビウリナ総裁によると、インフレ要因は一部の商品価格の高騰で、供給不足に起因すると説明しており、これを解消するためにも、銀行の貸し出しを増やし、経済の活性化が必要だと述べた。また、インフレ目標の4%に戻すように金融政策を実施するが、それほど急激ではないと説明しており、金融政策の効果により2024年には目標のインフレ率に戻ると予想している。

インフレ率のうち、自動車、家電製品、電子機器などの非食料品は前年同月比20.3%、食料品は18.0%だった。商品価格の高騰は3月前半に発生し、その後はルーブル安と駆け込み需要が解消し始め、商品の価格上昇は3月後半に落ち着いていた(2022年4月14日記事参照)。

1月から3月にかけてのルーブルの為替レートはドル、ユーロ、人民元に対して約40%のルーブル安となったが、4月にはウクライナ侵攻前の水準まで戻りつつある(2022年4月12日記事参照)。しかし、中央銀行によると、為替レートの変動は今後もインフレ率に大きな影響を及ぼすとしている。

(小野塚信)

(ロシア)

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