ASEAN製造業、ウクライナ情勢によるマイナスの影響

(ASEAN、フィリピン、インドネシア、マレーシア、タイ、ウクライナ)

ジャカルタ発

2022年04月12日

IHS マークイットが4月5日にウェブサイトで発表したASEAN主要7カ国(注1)の製造業購買担当者景気指数(PMI)外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますをまとめたところ、2022年第1四半期(1~3月)のASEAN全体のPMI(注2)は、2021年第4四半期(10~12月)に引き続き、全ての月で景気上昇の水準である50.0を上回ったものの、上昇傾向に失速がみられた。価格上昇圧力が増したことに加え、サプライチェーンの混乱や原材料不足が懸念材料とされた。さらには、直近のウクライナ情勢の影響も指摘されている。

3月のPMIを国別にみると、フィリピンがASEAN主要国で最高の53.2を記録した。要因として、2022年初に行った行動制限緩和により、新規受注および生産量の増加につながったとする。インドネシアも前期に引き続き、需要増に伴う景気拡大水準を維持した。一方で、ロジスティックの混乱に伴う出荷遅れや、資材不足がリードタイム延長の一因となっていると指摘されている。マレーシアは2021年9月以来、初めてPMIが50を下回った。生産量と新規受注は、前月よりもさらに減少し、原材料やコンテナ不足が在庫調整の妨げになっている、と指摘されている。

複数の国でウクライナ情勢の影響を懸念

今回発表されたPMIに関する報告書では、複数の国で直近のウクライナ情勢が物流に影響を与え、結果としてリードタイムが延びているとの記述がみられた。タイではウクライナ情勢や原材料不足の影響により、一部の企業で納期の長期化がみられている、と指摘されている。在タイ日系企業も、ウクライナ情勢による物流などへの影響を注視している状況だ(2022年3月8日記事参照)。

(注1)インドネシア、ベトナム、タイ、マレーシア、シンガポール、フィリピン、ミャンマーの7カ国

(注2)製造業の購買責任者を対象に、生産高や新規受注、在庫レベル、雇用状況、価格などの指数に一定のウエイトを掛けて算出する指数。0から100の間で変動し、50.0は「前月から横ばい」、50.0を超えると「前月比で改善や増加」を意味して景気拡大を示し、50.0未満は「前月比で悪化や減少」として景気減速を表す。

(上野渉、シファ・ファウジア)

(ASEAN、フィリピン、インドネシア、マレーシア、タイ、ウクライナ)

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