ウクライナ情勢、在タイ日系企業にも間接的に影響か

(タイ、ウクライナ、ロシア)

バンコク発

2022年03月08日

ロシアによるウクライナへの軍事侵攻を受けて、ジェトロは3月3日から4日にかけて、在タイ日系企業への影響について聞き取りを行った。日系コンサルティング業A社は、タイ進出日系企業への影響としては「全体として直接的な影響は大きくないと考えているが、原油高や物流の混乱、インフレなどの世界的な潮流が取引先の業績に与える影響を注視している」と述べた。

A社は現在のウクライナ情勢がタイ経済に与える影響として「ロシア、ウクライナとも、タイの貿易相手国としてのシェアは大きくない(2022年3月1日記事参照)。貿易よりも、ロシア人観光客が減少する影響の方が大きいだろう」とみる。タイ観光・スポーツ省によると、2022年1月にロシアからタイに訪問した観光客数は2万3,760人で、国別では最も多かった。新型コロナウイルス感染拡大前の2019年、ロシアからは148万人の観光客がタイを訪れており、国別では7番目に多かった。また、同年のタイの観光収入のうち、ロシアからは33億1,385万ドルで、中国、マレーシアに次いで世界第3位となっている。

欧州向けに雑貨を輸出する日系メーカーB社では、バイヤーから欧州市場での消費者マインドの悪化を聞いている。近隣地域で戦争が始まったため、アクセサリーなどの購入を控える動きがあるという。B社では、欧州での新型コロナウイルス感染拡大により売り上げが縮小し、バイヤーから支払い期日延長や割引などの対応を求められた。新型コロナウイルスの影響が落ち着いたかにみえた矢先、ウクライナ危機という新たなリスク発生に嘆息している。

日系商社C社では現在、ロシア関連ビジネスは有していないが、間接的に影響を受ける可能性があるという。一例として、さらなるコンテナ不足や輸送費上昇などがあり、場合によってはコンテナが確保できている代替サプライヤーからの購買に切り替える検討をするなどの対応をしている。

なお、ロシアCIS地域と直接取引のあるタイ日系企業は多くはない。ジェトロの「2021年度海外進出日系企業実態調査(アジア・オセアニア編)」によると、在タイ日系企業のうち、ロシアCISから原材料・部品を調達している企業は1.1%、ロシアCISに輸出している企業は0.8%にとどまる(注)。

タイ産業界への影響としては、タイ商業・工業・金融合同常任委員会(JSCCIB)が3月2日、ウクライナ危機を受けて、2022年のタイの経済成長率予測を3%~4.5%から2.5%に引き下げた(「バンコク・ポスト」紙2022年3月3日)。JSCCIBは政府に対し、エネルギー価格の上昇に対応する緊急融資や景気刺激策を求めている。

(注)原材料・調達の内訳の設問(有効回答283社、製造業のみ)と輸出先の内訳(有効回答360社、製造業・非製造業)の設問で「ロシアCIS」を選択した企業の比率。

(北見創)

(タイ、ウクライナ、ロシア)

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