世界銀行、2022年の東アジア・大洋州新興国・地域の成長見通し引き下げ、中国経済の減速とウクライナ問題が影響

(ASEAN、中国、タイ、インドネシア、マレーシア、ベトナム、フィリピン、カンボジア、ラオス、ミャンマー)

アジア大洋州課

2022年04月18日

世界銀行は4月4日発表の「東アジア・大洋州地域 半期経済報告書2022年4月版外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます」で、同年の東アジア・大洋州の新興国・地域(EAP、注1)の実質GDP成長率見通し(予測)を前年比5.0%とし、2021年10月の前回発表(2021年10月7日記事参照)から0.4ポイント引き下げた。また、経済成長シナリオが下振れした場合の成長率を4.0%と予測した(添付資料表参照)。

世界銀行は同地域の経済について、2021年の新型コロナウイルス・デルタ株の感染拡大の影響からは脱し、2021年終盤以降のオミクロン株の感染拡大では深刻な影響を回避したものの、経済成長を低下させ、貧困を加速させる以下の3つの要因・リスクが存在しているとした。

  1. 景気刺激策と持続的なサプライチェーンの乱れによる米国のインフレが予測を上回る速さで金融引き締めを引き起こす可能性がある。金融引き締めは、米国では時宜を得た政策だが、経済の回復途上にあるEAPの国・地域の多くでは足かせとなる。
  2. 中国の不動産分野におけるデレバレッジ(過剰債務の削減)の動きや、いわゆる「ゼロコロナ政策」を取る中での新型コロナの感染拡大が中国経済を減速させ、EAP地域の輸出を縮小させる可能性がある。
  3. これらに加え、新型コロナウイルスの影響が長引く中、ロシアのウクライナ侵攻に起因したショックにより、商品供給が滞り、金融圧迫が上昇し、世界経済の成長を鈍化させる可能性がある。

ASEANは国によりリスクの影響に差

世界銀行はASEAN5カ国(注2)の2022年の経済成長予測を4.9%とし、前回予測よりも0.3ポイント引き下げた。経済成長シナリオが下振れした際の予測は4.3%とした。国別では高い順に、フィリピン(5.7%)、マレーシア(5.5%)、ベトナム(5.3%)、インドネシア(5.1%)、タイ(2.9%)と予測した。また、2021年に発生した国軍による権力掌握の影響で混乱が続くミャンマーについては、1.0%と予測した。

世界銀行は前述のEAP地域のリスクに対し、国の特徴などによっては高い回復力を持つ可能性があるとし、ASEANでインドネシアやマレーシアのような一次産品の輸出国は、タイのような同輸入国に比べて、国際的な価格上昇による負の影響を受けにくいとした。一方、カンボジアやマレーシア、ベトナムといった輸出依存型経済の国は、世界的な需要の減退に対してより脆弱(ぜいじゃく)と指摘した。

(注1)東南アジア・大洋州の対象国は、カンボジア、中国、インドネシア、ラオス、マレーシア、モンゴル、ミャンマー、パプアニューギニア、フィリピン、タイ、東ティモール、ベトナム、太平洋島しょ国(フィジー、キリバス、マーシャル諸島、ミクロネシア連邦、ナウル、パラオ、サモア、ソロモン諸島、トンガ、ツバル、バヌアツ)

(注2)インドネシア、タイ、フィリピン、マレーシア、ベトナム

(三木貴博)

(ASEAN、中国、タイ、インドネシア、マレーシア、ベトナム、フィリピン、カンボジア、ラオス、ミャンマー)

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