外国人幹部・専門職向け就労査証、2023年9月から新ポイントシステム導入へ

(シンガポール)

シンガポール発

2022年03月08日

シンガポールのタン・シーレン人材相は3月4日、国会の人材省予算審議で、外国人の幹部・専門職向けの就労査証「エンプロイメントパス(EP)」の審査で発給基準となる最低基本月給に加えて、2023年9月から新たなポイントシステムを追加導入すると発表した。

EP審査の新ポイントシステム「補完的評価フレームワーク(COMPASS)」は、(1)EP申請者の固定給与、(2)EP申請者の学歴、(3)幹部・専門職の国籍の多様性、(4)企業の地元雇用創出への貢献の4基準で申請者を審査。その4基準でそれぞれ想定以上であれば20ポイント、想定どおりなら10ポイント、想定未満は0ポイントと評価する。さらに、人工知能(AI)やサイバーセキュリティーの技術者など人材不足が生じている職種では20ポイント、特定のイノベーションや国際化活動に携わるのであれば10ポイントがボーナスポイントとして加算される(添付資料表参照)。幹部・専門職・技術職が25人以下の場合には、同4基準のうち(3)と(4)についてそれぞれ10ポイントを自動的に付与する。最終的には、EP取得にはCOMPASSで合計40ポイント以上を取得し、併せて最低基本月給の基準を満たす必要がある。COMPASSは新規申請について2023年9月1日から適用し、更新については2024年9月1日からの適用となる。

シンガポール政府は2月18日にEPと中技能向けの「Sパス」について、発給基準となる最低基本月給の引き上げを発表した(2022年2月25日記事参照)。EPの最低基本月給を2022年9月1日から、現行の4,500シンガポール・ドル(約37万8,000円、Sドル、1Sドル=約84円)から5,000Sドルへ、金融サービス分野のEPについては現行の5,000Sドルから5,500Sドルへ、それぞれ引き上げる予定だ。タン人材相は演説で「COMPASSはEPの取得を困難にするために設計したものではない。既存の申請者の大半は問題ない」と述べた。しかし「一部の企業は調整が必要だ。その場合には、改善するべき項目が明確になる」と語った。

一方、タン人材相は、若手人材の国際研修を目的に「グローバル・ローテーション・スキーム」を実験的に導入する方針も明らかにした。同スキームでは、多国籍企業が海外からシンガポールに若手社員の研修派遣を可能にする代わりに、シンガポール国民を同様に海外で研修させることを義務付ける。

(本田智津絵)

(シンガポール)

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