米政府、ロシアのエリート・富裕層を対象とした多国間タスクフォースの共同声明を発表
(米国、ロシア、ウクライナ、EU、オーストラリア、カナダ、ドイツ、イタリア、フランス、日本、英国)
ニューヨーク発
2022年03月18日
米国のバイデン政権は3月17日、多国間で立ち上げた「ロシアのエリート層・近親者・富豪(REPO)タスクフォース」に関する共同声明を発表した。
REPOタスクフォースは3月16日に立ち上げられた枠組みで、米財務省の3月16日付のプレスリリースによると、米国、オーストラリア、カナダ、ドイツ、フランス、イタリア、日本、英国と欧州委員会の財相・法相・内相らで構成される。ウクライナ侵攻を受けて、これまで各国が制裁対象に指定したロシアのエリート層やその近親者および富豪に対する法執行を強化するために、情報共有などを行うことを目的としている。
3月17日付の共同声明では、制裁対象となったロシアの個人・事業体の資産の凍結・差し押さえなどをするためにあらゆる法的手段を実施すべく協力するとし、「ロシアのウクライナ侵攻は国連憲章を含む、国際的な秩序を支える基盤的な規律と法に対する暴挙だ。ロシアのエリート層とその近親者および支援者らの追跡において協力することで、われわれはこれまで以上に、彼らを国際的な金融システムから孤立させ、その行動に対する結果を課していく。他国もこの重要な取り組みに参加するよう呼び掛ける」としている。
米国からはジャネット・イエレン財務長官とメリック・ガーランド司法長官が代表として参画しており、両省が有するリソースをREPOタスクフォースに投入するとしている。まず司法省は、米国が指定したロシアの制裁対象への法執行に取り組む、省庁横断のタスクフォース「クレプトキャプチャー」(2022年3月4日記事参照)をREPOタスクフォースに協力させるとしている。財務省は、傘下の金融犯罪取り締まりネットワーク(FinCEN)をREPOタスクフォースに参画させ、情報共有を行うとともに、金融機関に対してロシアの制裁対象による疑わしい取引があった場合に警告を発していくとしている。また、ロシア政府を含む外国政府の腐敗と関係のある資産の差し押さえなどに役立った情報を提供した者に、最大500万ドルの報奨を与える「腐敗資産回収報奨プログラム」を立ち上げた。さらに、財務省はREPOタスクフォースのメンバーに、米国として優先的なターゲットとしている制裁対象50人のリストを提供したとしている(注)。
(注)財務省は、そのうち28人のリストを公開している。
(磯部真一)
(米国、ロシア、ウクライナ、EU、オーストラリア、カナダ、ドイツ、イタリア、フランス、日本、英国)
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