ドイツ国内初のLNGターミナル建設覚書を発表、ガス輸入のロシア依存脱却目指す

(ドイツ、オランダ、ロシア、ウクライナ)

デュッセルドルフ発

2022年03月11日

ドイツの経済・気候保護省は3月5日、国内初の液化天然ガス(LNG)輸入ターミナル建設に関し発表外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますした。ドイツ復興金融公庫(KfW)と大手エネルギー会社RWE、オランダ政府100%出資の同国ガス大手ガスニーが4日、ドイツ北部のシュレスビヒ・ホルシュタイン州ブルンスビュッテル市でLNG輸入ターミナルの建設に関する覚書(MoU)を締結したという。ターミナルの運営はガスニーが担当し、出資比率はKfWが50%、ガスニーが40%、RWEが10%。

同ターミナルの年間再ガス化能力は80億立方メートルで、ドイツの年間ガス需要約950億立方メートルの8.4%に相当する。同ターミナルにより、パイプラインによるガス輸入が不可能な地域から直接輸入が可能となり、ドイツのエネルギー安全保障を高めることになる。また、北西ヨーロッパのパイプラインによるガス輸入への依存度低減にも貢献する。同ターミナルはできるだけ早く完成させる予定だが、このようなターミナル建設に当たっては工事着手前にさまざまな許可取得が必要とされ、建設期間は3~3年半程度と見込まれている。現在は許可取得手続きの迅速化に集中的に取り組んでいる。将来的には、グリーン水素のエネルギーキャリアであるアンモニア(注)などが同ターミナルで処理できるよう転用する予定で、再生可能エネルギーへの転換のための活用にも期待される。

同ターミナル建設の背景には、ロシアによるウクライナへの軍事侵攻を受け、ドイツ政府がロシアとの天然ガスパイプライン「ノード・ストリーム2」の承認手続きを停止したこと(2022年2月24日記事参照)があり、ドイツの天然ガス輸入におけるロシアへの依存度を下げる意図がある。経済・気候保護省によると、ドイツが輸入している天然ガスのうちロシアからの輸入のシェアは全体の55%を占める。

ロベルト・ハーベック経済・気候保護相は同プロジェクトを歓迎し、「エネルギー供給の気候中立化や、ガス消費量の徹底した削減、再生可能エネルギーの拡大、水素の生産を推し進めることの必要性は明らかだ。一方で、移行期には天然ガスが必要であり、ロシアからの天然ガス輸入依存度を一刻も早く下げる必要がある」と指摘した。

なお、オラフ・ショルツ首相は2月27日、ドイツ北部のニーダーザクセン州ウィルヘルムスハーフェンでもLNGターミナルを建設する予定だと述べた。2つのLNGターミナル基地によりドイツの年間ガス消費量の20%をカバーできる見込みだ。

(注)水素をエネルギーとして利用するためには、輸送と貯蔵の工程で、高圧圧縮や超低温による液化、アンモニアなど他の物質への変換が必要になる。アンモニアは水素エネルギーの貯蔵、輸送媒体(エネルギーキャリア)として利用される。水素エネルギーを大量に導入すると、この大量輸送、貯蔵手段としてエネルギーキャリアであるアンモニアが求められることになる。

(ベアナデット・マイヤー、作山直樹)

(ドイツ、オランダ、ロシア、ウクライナ)

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