ドイツ、ロシアとの天然ガスパイプライン「ノード・ストリーム2」の承認手続きを停止

(ドイツ、ロシア、ウクライナ)

ベルリン発

2022年02月24日

ドイツのオラフ・ショルツ首相は2月22日、ロシアが21日にウクライナ東部でロシアへの編入を求める分離独立派が実効支配する「ドネツク人民共和国」と「ルガンスク人民共和国」を独立国家として承認したこと(2022年2月24日記事参照)について、「国際法上の重大な違反」と厳しく非難する声明を発表した。さらに、ウクライナに対するドイツの連帯を約束するとともに、「ノード・ストリーム2」の承認手続き停止を表明した。

ショルツ首相は、ロシアのウラジーミル・プーチン大統領によるウクライナ東部2地域の国家承認は、彼自身が署名したミンスク合意に反するもので、領土保全についての国連憲章の基本原則や、国際法への重大な違反行為だと批判した。さらに、ロシアの行動は「結果を伴う」として、国際社会は断固とした姿勢でロシアの行動を支持しない、と明言。ウクライナには、ロシアの挑発を許さない姿勢に敬意を表した。

ロシアに対する制裁措置として、ドイツはEUの制裁決定に先立ち、ロシアとドイツを結ぶ天然ガスパイプライン事業であるノード・ストリーム2の承認手続きの停止を決定した。ノード・ストリーム2の稼働については、これまで独仏首脳会談(2022年1月31日記事参照)、独米首脳会談(2022年2月8日記事参照)などで、地政学的リスクや、ロシアに対する制裁措置の可能性の観点から度々言及されてきたが、ショルツ首相は停止に関し明言してこなかった。しかし、「根本的な状況は変化した」として、経済・気候保護省に、前政権時に作成された、ガスの供給安定性に関する分析報告書を撤回するよう要請した。

ノード・ストリーム2の承認の前提には、当該ガスパイプラインがドイツと欧州のガスの供給安定性を脅かさないことが法律により求められている。分析報告書は、連邦ネットワーク庁におけるガスパイプライン系統運営事業者の承認手続きの根拠資料となるが、ショルツ政権であらためて評価を行う。このため、ノード・ストリーム2の承認手続きは事実上、いったん停止される。

これを受け、同じく22日、ロベルト・ハーベック経済・気候保護相は「われわれは一致して経済制裁で対応する。本日、ノード・ストリーム2の承認手続きを当面停止した。地政学的な状況から、ノード・ストリーム2の再評価は必須」と発表した。また、「ツァイト」紙(2月22日)によると、同相は、ロシアとウクライナの紛争により、ドイツのガス価格が短期的に上昇する可能性を指摘したが、ドイツにおける「供給は安定」していると述べた。

(中村容子)

(ドイツ、ロシア、ウクライナ)

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