企業内男女間賃金格差指数の結果を発表、格差の大きい企業には罰金

(フランス)

パリ発

2022年03月14日

フランスの労働・雇用・社会復帰省は3月7日、2022年の企業内男女間賃金格差指数の結果を発表し、改善はみられるとしつつも「産休後の昇給および給与上位者の男女格差にさらなる努力が必要」との見解を示した(プレスリリース外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます)。100ポイントを上限とする指数が3年連続で75ポイントに満たない企業に対しては、最高で総賃金の1%の罰金が科される。今回、92%の企業が罰則の対象外となる75ポイント以上を獲得した。

産休後の昇給に関する平均指数は、前年から1ポイント上昇し12ポイント(上限15ポイント)となった。ただし、「男女間の賃金の平等に関する法律」(2006年制定)に違反するにもかかわらず、産休後に産休中の昇給を付与しなかった企業は2,354社(11%)に上った。組織内の給与額上位10人の男女比に関する平均指数は、前年から1ポイント上昇し5ポイント(上限10ポイント)となった。格差の実態は企業により大きく異なり、27%の企業が「男女同数、または、ほぼ同数を順守」とする一方、35%の企業が「女性は上位10人中2人未満」と回答した。

男女間賃金格差指数の公表は、2018年施行の「職業における将来を選択する自由のための法律」で定められている。従業員1,000人以上の企業には2019年から、また50人以上の企業には2020年から毎年3月1日付で、指数の公表が義務化された(2019年3月12日記事参照)。2022年は、従業員数1,000人以上の企業の85%、従業員数50~250人の企業の53%が指数を公表、これら企業の平均値は86ポイントで、前年より1ポイント上昇した。2%の企業が100ポイント(満点)を獲得した。

労働・雇用・社会復帰省労働監督局は、これまで指数の公表義務を怠った企業3万2,460社に対し、504社に催促を送付、32社に罰金を科している。施行から3年目となる2022年からは、最高で総賃金の1%の罰金も適用となる。3月7日付「レゼコー」紙によると、同省は既に、プロサッカーチームのパリ・サンジェルマン、ビジネススクールのスケマ、写真現像のフォトボックスなど、罰金の対象となる16の企業(全て従業員1,000人未満)を特定している。

(奥山直子)

(フランス)

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