男女間賃金格差指数の公表を義務化

(フランス)

パリ発

2019年03月12日

フランスで男女間の賃金格差是正に関する施行令が1月1日に発効、従業員50人以上の企業に男女間の賃金格差指数を毎年公表するよう義務付けた。結果はインターネット上で公開するものとし、従業員1,000人以上の企業は3月1日、250人以上は9月1日、50人以上は2020年3月1日 を期限とする。

格差指数は100ポイントを上限に、次の5つの要因を判断基準とする。

  1. 職務内容、年齢のカテゴリー別における男女間の賃金格差の有無(40ポイント)
  2. 男女間の個別昇給の格差排除(従業員250人以上の企業20ポイント、250人未満35ポイント)
  3. 男女間の昇進の格差排除(従業員250人以上の企業のみ15ポイント)
  4. 産休後の職場復帰における産休中の昇給の付与(15ポイント)
  5. 給与の上位10人における女性の数(10ポイント)

男女間の賃金格差が0%の場合40ポイント、12~13%の場合21ポイント、20%を超える場合0ポイントとなる。指数総計が75ポイントに満たない企業は、3年以内に75ポイント以上になるよう是正する。指数を公表しない企業、または3年経っても男女間格差が75ポイントに満たない企業は、最高で総賃金1%のペナルティーの対象となる。経済的に困難な企業には猶予が与えられる。

1972年の「男性と女性の報酬の平等性に関する法律」の制定以降、政府は男女間の格差是正措置の策定を義務付けていたが、いまだに平均9%の格差がみられる。このため、政府は2018年9月7日発効の「職業における将来を選択する自由のための法律」に、企業に対して男女間格差是正の結果を求める条項を盛り込んだ。

ミュリエル・ペ二コ労働相は3月2日付の「ジュルナル・デュ・ディマンシュ」紙のインタビューで、従業員1,000人以上の企業1,400社のうち、「700社が既に公開、500社が準備中」「現時点では、5社中1社が75ポイントに達していない」とし、「3年後に是正されたか検証する」と述べた。

(奥山直子)

(フランス)

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