ロシアのG20会合参加めぐり、議長国インドネシアの閣僚は明言避ける

(インドネシア、ロシア)

ジャカルタ発

2022年03月30日

インドネシアで11月に開催されるG20サミットへのロシアの参加に関して、インドネシアの現地報道をまとめたところ、議長国として難しい対応を迫られている様子がうかがえた。ロシアの参加に関しては、ロシアの駐インドネシア大使は3月23日、ウラジーミル・プーチン大統領がG20サミットに出席する意向と発表した。これに対して、ウクライナの駐インドネシア大使は翌24日、出席を拒否するようインドネシアに要請している(「CNBC Indonesia」3月24日)。さらに、メンバー国では米国やオーストラリアなどが反対する一方、中国は支持する姿勢だ。

2022年のG20議長国としてのインドネシアの対応について、外相の特別スタッフであるディアン・トリアンシャ・ジャニ氏は24日の定例記者会見で「インドネシアはこれまでの議長国と同様の規則と手続きに基づき、G20議長国を務める。全てのメンバー国を招待することが議長国の義務だ」とし、ロシアを含めた全メンバー国に対し2月22日に招待状を送ったことを明らかにした(「テンポ」紙3月25日)。また、ルフット・ビンサル・パンジャイタン海洋投資調整相は同日、「G20サミットは政治フォーラムではなく、経済フォーラムだ」と強調した。一方で「ロシアのG20サミットへの出席について、コメントするには時期尚早」と明言を避けた(「CNN Indonesia」3月25日)。

また、米国のジョー・バイデン大統領が、インドネシアや他国がG20の枠組みからロシアを排除することに賛同しない場合は、同様にウクライナも会議に招待すべきとの考えを示したことに関して、インドネシア国会第1委員会のアルマニ・トワフィ議員は「ウクライナをG20の出席国に含める提案に関しては、G20の全てのメンバー国によって議論されなければならない」とコメントし、議長国単独で判断すべき事項ではないとしている(「detik.com」3月26日)。

有識者は対立避けつつ議長国としてのプレゼンスに期待

インドネシアの有識者からは、対立を深めるような対応を避けつつ、議長国としてのプレゼンスを示すべきとする発言が出ている。インドネシア経済改革センター(CORE)のムハンマド・ファイサル事務局長は23日、ロシアの参加の意向について「ホスト国としてはどちらか一方に付く権利もない」「ロシアの出席を拒否すれば、われわれも紛争に巻き込まれ、より事態を悪化させる」と発言し、対ロシア関係に配慮を示した。その上で、議長国の役割として「G20サミットを戦争終結と経済的な影響の緩和の試みとすべき」とした。経済金融開発研究所(INDEF)のビマ・ユディスティラ氏も同日、インドネシアがG20議長国として果たすべき役割について「ジョコ・ウィドド大統領の重要な役割は、ロシアに対して、グローバル経済を不安定にしていることを警告すること」とコメントした(「detik.com」3月23日)。

2022年のG20はインドネシアが初めて議長国を務めている。これまで2月17、18日にジャカルタで第1回の財務相・中央銀行総裁会議が開催され(2022年2月28日記事参照)、4月にワシントンで第2回会議が予定されている。メンバー国の首脳が集まるG20サミットは11月15、16日にバリ島で開催される。

(尾崎航)

(インドネシア、ロシア)

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