バイデン米大統領、中国の習国家主席とのビデオ会談でロシアへの支援を牽制

(米国、ロシア、ウクライナ、中国)

ニューヨーク発

2022年03月23日

米国のジョー・バイデン大統領は3月18日、中国の習近平国家主席とビデオ会談を行った。両国政府間の対話については、3月14日にジェイク・サリバン大統領補佐官(安全保障担当)が楊潔篪・共産党中央政治局委員と対面会談を行ったが(2022年3月16日記事3月17日記事参照)、首脳間の会談は2021年11月のビデオ会談以来となる(2021年11月17日記事参照)。

ホワイトハウス公表の会談要旨外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますによると、ロシアのウクライナ侵攻が議論の焦点となった。バイデン大統領は対ロ制裁を含め、同盟・友好国と連携した侵攻の阻止と侵攻後の対応に関する取り組みを説明したとしている。また、サリバン補佐官が楊政治局委員に伝えたのと同様に、中国がロシアに実質的な支援を行った場合の結果についても説明したとしている。

両国の2国間関係については、競争関係を管理するために開放的な対話の窓口を維持することの重要性について合意した。バイデン大統領は個別の問題として唯一、台湾に言及し、「米国は台湾政策を変えておらず、いかなる一方的な現状変更にも反対していく」ことを強調したとしている。最後に、両首脳は今回の対話のフォローアップを部下に指示したと締めくくられている。

中国の秦剛駐米大使は3月15日、米国紙「ワシントン・ポスト」への寄稿で、ウクライナ危機に対する中国の立場は客観的で公平とし、国連憲章に言及しつつ平和的な解決の重要性を訴えた。他方、中国がロシアを支援しているといううわさは虚偽で、米国政府高官が中国企業への制裁をちらつかせながら脅していることは容認できないと牽制している。台湾問題についても、中国の内政に関わることで、ウクライナ危機と関連付けるのは間違っていると強調している。今回の首脳会談に関して、米国調査会社ユーラシア・グループのニール・トーマス氏は、双方がウクライナ危機に係る共通認識を持つことができれば2国間関係の安定化につながるが、「もしバイデン大統領が習主席から何も得られない場合、または外交的な衝突が生じた場合は、今回の会談が現代の米中関係における新たな停滞を告げるものとなるだろう」と分析している(「ウォールストリート・ジャーナル」紙電子版3月18日)。

(磯部真一)

(米国、ロシア、ウクライナ、中国)

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