対ロシア経済制裁で、ペルー・ロシア間の貿易への影響も懸念

(ペルー、ロシア)

リマ発

2022年03月16日

ロシアによるウクライナへの軍事侵攻は、ペルー経済に対しても、燃料コストの上昇や為替変動によるインフレのほか、両国との通商関係など多面的な影響を及ぼす可能性がある。これを受けて、通商観光省(MINCETUR)とペルー貿易観光促進庁(Promperú)は3月9日、両国との貿易で影響を受ける企業へ情報提供するウェブサイト外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますを開設した。

MINCETURの統計によると、2021年の対ロシア貿易高は過去最高の7億4,000万ドルを記録しており、貿易収支は3億5,044万ドルのペルー側の貿易赤字となっている(添付資料「表1 ペルーの対ロシア輸入統計」、「表2 ペルーの対ロシア輸出統計」参照)。ロシアからペルーへの輸入については、90%が肥料や火薬を中心とした中間財が占めている。特に肥料では、ペルー貿易協会(ComexPerú)によると、ロシアの低価格肥料への依存度は高く、輸入肥料の51%を同国が占めているという。そのため、同協会は農産品の生産コスト高騰により販売価格の値上げを予想している。ペルーの中小農家や品目ごとの業界団体を束ねるペルー全国農業会議(CONVEAGRO)のクリマコ・カルデナス会長も、ニュース番組「エクシトサ・ノティシアス」の取材に対して、対ロ経済制裁により肥料コストは8倍になるとコメントしている。一方、鉱業分野での活用が主な用途の火薬については、現地で操業する日系金属会社によると、ダイナマイトやそれに類似する爆薬の多くはペルー国内で生産されており、その他、硝酸アンモニウムに軽油などを混ぜて作るANFO爆薬も、その他の欧州諸国、中国などからも輸入しているほか、ペルー国内での生産実績もあるため、今後大きな影響はないとみている。

輸出面では、MINCETURによると、2021年には241社がペルーからロシアへの輸出を行っており、そのうち185社が農産品、22社が魚介類、17社が化学品を輸出していた。輸出の77%が農産品(総輸出額の53%)や魚介類(同18%)などを中心とした非伝統輸出産品が占めており、残りの23%は鉛や金を中心とした鉱業産品となっている。農産品では主にアボカド、ブドウ、ミカン、マンゴーなどの果物類とコーヒー豆などの輸出額が近年右肩上がりで伸びており、2021年の農産品輸出は前年比10%増の1億305万ドルを記録している。魚介類ではオオイカが中心で、2021年は前年比49%増の2,651万ドルを記録し、同商品の5番目の輸出先となっている。

ペルーの対ウクライナ貿易への影響については2022年3月16日記事参照。

(設楽隆裕)

(ペルー、ロシア)

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