グリーン水素のパイロット生産開始、トヨタの「MIRAI」が南米初走行

(コロンビア)

ボゴタ発

2022年03月25日

コロンビア石油公社エコペトロールと大手ガス輸配送会社プロミガスは3月18日、政府とともに取り組む、グリーン水素製造の国内初のパイロット生産をカルタヘナで開始した。生産開始の記念イベントには、イバン・ドゥケ大統領とディエゴ・メサ鉱山エネルギー相らも出席した。

エコペトロールは、同社のカルタヘナ製油所において3カ月間、工業用水を利用して1日当たり20キログラムの水素を生産する。これに合わせて、トヨタ自動車は、水素で走る燃料電池自動車「MIRAI」を米国からコロンビアへ初めて持ち込み、エコペトロール製造のグリーン水素を燃料として使用した。ドゥケ大統領は自ら「MIRAI」のハンドルを握って製油所内を走行し、「『未来』を意味するトヨタの『MIRAI』は、グリーン水素を使用した国内初の自動車だ。コロンビアは技術、エネルギー、環境への意識をそなえ、域内におけるエネルギー転換のリーダーになる」と語った。グリーン水素燃料の自動車の走行は、南米では初の取り組みとなる。

プロミガスは、カルタヘナにある同社のガス輸送ステーション内に設置した電解槽で水素を生成する。電気分解には、同じステーションに設置されたソーラーパネルによる太陽光発電の電力を使用する。パイロット生産は5段階で実施され、第1段階では年間1,574キロのグリーン水素と天然ガスの混合燃料を製造し、カルタヘナのマルモナ地区へ供給する。最終的には年間15トンの製造を目指す。

ドゥケ大統領は「コロンビアは、2030年までに南米最大の水素輸出国となる」と語り、2021年9月に政府が発表した水素戦略に関するロードマップ(2021年10月14日記事参照)の目標達成に向けた第一歩を踏み出したことを強調した。また、メサ鉱山エネルギー相は、政府が100万ドルを投じ、非在来型エネルギーおよび効率的なエネルギー管理のための基金(FENOGE)を通して、グリーンおよびブルー水素プロジェクトの実現可能性調査のために融資を行うことを発表した。

(茗荷谷奏)

(コロンビア)

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