米商務省、2022~2026年度の戦略計画発表、イノベーションと国際競争力向上に主眼

(米国)

ニューヨーク発

2022年03月31日

米国商務省は3月28日、2022~2026年度の戦略計画を発表外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますした。ジーナ・レモンド商務長官は発表に当たって「商務省が手掛ける全てのことは、世界経済において米国の競争力を向上させることに焦点を当てている」との声明を出している。同省は具体的な目標として、次の5点を掲げている。

  1. イノベーションと国際競争力の促進:強靭(きょうじん)なサプライチェーンへの投資や、新興・基盤技術の推進、同盟国との戦略的パートナーシップ、サイバーセキュリティーの改善、知的財産権の促進、通商ルールの積極的な執行を通じて実現する。
  2. インクルーシブな資本主義と公平な経済成長の促進:一世一代のブロードバンド、その他の経済開発への投資により全米の起業家を後押しする。
  3. 気候危機への対応:気候変動関連のデータ収集・普及を推進する技術の加速や、(環境の)復元などへの投資により気候変動に対応するとともに、高賃金の雇用を創出する。
  4. データを通じた機会と発見の拡大:世界クラスの科学・統計的ツールを活用することで、米国の労働者とビジネスのための公平な競争環境を生み出す。
  5. 21世紀の能力で21世紀のサービスを提供する:商務省の採用・調達においてスマート技術の導入とシステムの刷新を図ることで、省の13部局を通じて、米国民とビジネスに資する結果を達成する。

各目標はさらに、複数の戦略指標に分かれており、それぞれの戦略指標を主に担当する部局を指定している。例えば、筆頭目標の「イノベーションと国際競争力の促進」は7つの戦略指標から成り、1番目の戦略指標「米国製造業の再活性化と国内サプライチェーンの強化」を率いるのは国立標準技術研究所(NIST)となっている。また、各戦略指標は、バイデン政権が発表した2023年度の予算教書(2022年3月29日記事参照)と直結しているとしている。実際に予算教書では、「国内製造業を通じた国家のサプライチェーン強化」のためにNISTの製造業支援プログラムに対して、2021年度実績比2億600万ドル増となる3億7,200万ドルを配分するよう要求している。レモンド長官は予算教書発表に伴う声明外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますで「この3億7,200万ドルを含む歴史的な投資は、新型コロナウイルスのパンデミック後の雇用創出、より強靭な労働力とサプライチェーンの構築を助けるとともに、21世紀の世界経済で米国の競争力を高める」としている。

(磯部真一)

(米国)

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