EUの2021年第4四半期GDP成長率は前期比0.4%、新型コロナ前の水準に回復

(EU、ユーロ圏)

ブリュッセル発

2022年03月11日

EU統計局(ユーロスタット)は3月8日、2021年第4四半期(10~12月)のEU27カ国とユーロ圏19カ国の実質GDP成長率(前期比、季節調整済み)を、それぞれ前期比0.4%、0.3%と発表(プレスリリース外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます)した〔添付資料「表1 EU27カ国の四半期別・実質GDP成長率の推移とその内訳(前年比)」、「表2 EUおよび加盟国の四半期別の実質GDP成長率(前期比)」参照〕。EUとユーロ圏の成長率はともに、第2四半期(4~6月)、第3四半期(7~9月)と2四半期連続で前期比2.0%超のプラス成長(2021年12月13日記事参照)が続いた後、成長が減速したかたちとなったが、新型コロナウイルス感染拡大前の2019年第4四半期の水準に回復した。

また、2021年通年のEUとユーロ圏の実質GDP成長率は、ともに前年比5.3%となった。

EUの第4四半期の実質GDP成長率(前期比)を需要項目別でみると、個人消費が前期の4.3%からマイナス0.6%と大幅に縮小した。政府消費支出は0.6%増(寄与度:0.1ポイント)とプラス成長を維持した一方で、総固定資本形成は3.0%増(0.6ポイント)と前期のマイナス0.8%から拡大した。輸出は3.0%増、輸入は4.1%増となり、純輸出ではマイナス成長となった。

EUの第4四半期の実質GDP成長率(前期比)を国別でみると、アイルランド(マイナス5.4%)、オーストリア(マイナス1.5%)など6カ国でマイナス成長となった(添付資料表2参照)。アイルランドは同国中央統計局によると、工業(建設を除く)が12.2%減と足かせになったものの、2021年通年での実質GDP成長率は速報値で13.5%の高成長を記録した。ユーロ圏の主要4カ国では、スペイン(2.0%)、フランス(0.7%)、イタリア(0.6%)がプラス成長となったものの、ドイツ(マイナス0.3%)はマイナス成長を示した。ドイツでは、新型コロナウイルス対策の移動制限措置に伴うサービス部門の需要の減少などから、2022年第1四半期も経済は減速するものの、春以降は再び成長トレンドに戻ると予測されている。ただし、今後のリスク要因として、ウクライナ情勢を注視する必要があるとしている(2022年3月7日記事参照)。

(大中登紀子)

(EU、ユーロ圏)

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