ウクライナ情勢、在インドネシア企業の小麦輸入や物流などに影響

(インドネシア、ロシア、ウクライナ)

ジャカルタ発

2022年03月16日

ジェトロが3月8日から9日にかけて、在インドネシア日系企業に対し、ロシアによるウクライナへの軍事侵攻に関する影響についてヒアリングを行ったところ、両国から調達している小麦の調達や、欧州向け物流について具体的な影響があるとの回答が得られた。また、エネルギー価格の高騰が製造コストに与える影響を懸念する声も聞かれた。

日系商社A社は、毎年、ロシアとウクライナから小麦を調達している。その影響について、「黒海沿岸からの輸出が滞ることが考えられ、インド産小麦での代替を検討する」とし、「ブルガリア、ルーマニアから調達が可能であれば、併せて検討したい」と回答した。また、直近で小麦の価格が高騰したため、輸入を停止し、手元にある在庫で調整している状況だ。日系物流企業B社は、従来からの「新型コロナ禍」による物流の混乱は依然として改善されず(2022年2月16日記事参照)、直近のウクライナ情勢によって欧州路線での問題が大きくなっているとコメントした。航空貨物に関しては、限られた便に頼る欧州向けの運賃が、直近1週間で約5倍に上昇したという。二輪・四輪車用エンジン部品を製造する日系製造業C社は、燃料価格について「現時点で購入価格は上昇していないが、仕入れ先企業からの情報では、今後値上げの可能性があると聞いている」とコメントした。

これらの影響のうち、小麦については、今後、影響が拡大することが懸念されている。インドネシアは2020年、小麦を主原料とする即席麺について世界2位となる126億食を消費した。同国の2021年の小麦輸入量は約115億トンで、うちウクライナが占める割合は約27%(約31億トン)と多くを占めている。他方、ロシアは0.02%(約296万トン)にとどまる(グローバル・トレード・アトラス)。インドネシア食品・飲料業者連盟(GAPMMI)のアディ・S・ルクマン会長は「今後2~3カ月分は原料の在庫があるため、小麦を原料とする食品の価格には影響がない」と、直近での値上げはないとしている(「BBCインドネシア」3月4日)。

(上野渉、尾崎航)

(インドネシア、ロシア、ウクライナ)

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