新型コロナ感染再拡大の中、日系製造業は複数の課題に直面

(インドネシア)

ジャカルタ発

2022年02月16日

ジェトロが在インドネシア日系製造業を対象に行ったヒアリング(2月9~14日)から、新型コロナウイルスの感染再拡大が工場の操業や感染対策に与える影響や、長引く物流の混乱など、製造業が複数の課題に直面している状況が明らかになった。インドネシアでは1月末から再び大きな感染の波に直面している。2月12日の新規感染者数は5万5,209人と、過去最高の5万6,757人(2021年7月15日)に迫る勢いだ。

直近の感染状況について、繊維業A社は「2月上旬から新型コロナウイルス感染者が急増し、自社でも累計30人強が感染した」とした上で、「通常より労務コストはかかるが、不足分の人員に関しては派遣社員を増やすことで補っている」と対応方法を明らかにした。また、2021年7~8月の感染拡大時(2021年7月9日記事参照)と比較すると、「感染スピードが圧倒的に早い」(輸送用機器関連B社)、「無症状者が多い」(輸送用機器関連C社)といった、オミクロン株の特性を指摘するコメントが日系企業から多く寄せられた。そのため、「風邪のような軽い症状でも社内で速やかに抗原検査を受けさせている」(A社)や「1週間に1度、全従業員を対象に抗原検査を実施している」(B社)と、自助努力で感染拡大防止に腐心している。

インドネシアでは、新型コロナウイルス感染対策として政府が操業制限を導入し、必須分野や重要分野など、産業セクターに応じて従業員の出勤率を定めている(在インドネシア日本大使館のお知らせ2月8日外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます)。必須・重要分野に当たる場合、通常よりも高い出勤率が容認されることから、企業は政府当局に対して、産業セクターの申請・認定をオンラインで行っている。「認定はスムーズに行われた」(金属製品製造業D社)と、手続きに大きな混乱は見受けられなかった。

ジェトロによるヒアリングでは、感染拡大により操業に大きな影響が出ていると回答した企業は現時点では多くなかったが、ブディ・サディキン保健相はオミクロン株感染拡大のピークを「2月中旬から3月上旬」と予想していることから、今後、企業活動へのさらなる影響を注視する必要がある。

物流の混乱、原材料不足・価格高騰は引き続き大きな課題

また、ヒアリングからは、日系製造業の課題は直近の感染拡大にとどまらないこともわかった。差し迫った課題として、物流の混乱を指摘する企業が多い。「日本からの輸入品は遅延することが多く、1回当たりの発注量を増やして対応している」(輸送用機器器具製造業E社)や、「船舶予約が困難で、原材料の入荷遅れも頻繁にある。一部で操業に問題が発生している」(A社)との声が聞かれた。日系物流企業は「北米の港湾の混雑状況次第では、今後も世界規模での物流の混乱は続くと見込んでいる」と話している。

原材料不足や価格の高騰も、同様に深刻な問題となっている。「一部の樹脂材について、調達先が『フォースマジュール(不可抗力)』条項(注)の適用を宣言した影響が続いており、原材料が継続的に不足」(B社)、「原材料高騰に伴う顧客との価格交渉が課題」(輸送用機器器具製造業F社)などの声が複数の企業から聞かれた。

(注)人為を超えた予測困難で制御不可能な外的要因により、契約上の義務が不履行となる場合に免責を求めること。

(上野渉)

(インドネシア)

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