ロシア、非友好国企業との取引を政府への申請対象に

(ロシア、米国、EU、英国、スイス、シンガポール、日本、カナダ、ニュージーランド、台湾、ウクライナ、韓国、オーストラリア)

モスクワ発

2022年03月10日

ロシア政府は2022年3月7日、外国投資管理政府委員会による、居住者と外国人の取引に対する許可発行に関する規則を発表した(2022年3月6日付連邦政府決定第295号)。この決定は、2022年3月1日付大統領令第81号「ロシア連邦の財政安定確保のための追加的・時限的経済措置」(注1)の実施規則として定められたもの。非友好国・地域(以下、非友好国、2022年3月9日記事参照)の外国企業とロシア企業が特定の取引を行う場合、外国企業もしくはロシア企業は政府委員会に取引の許可を申請しなければならない。

対象となるのは、a.非友好国の個人・法人に対するルーブル建ての貸付契約(注2)、b.非友好国の個人・法人との間で行われる有価証券および不動産の取引(注3)、c.2月22日以降の非友好国以外の個人・法人との有価証券および不動産取引で、取引の対象となる資産が非友好国の個人・法人から獲得されたもの、d.居住者による非居住者への貸付契約に基づく外貨取引、e.居住者によるロシア国外にある自身の銀行口座への外貨入金(口座開設をしない電子送金を含む)(注4)。

なお、3月1日から禁止された、非居住者に対する外貨建ての貸し付けの禁止(2022年3月4日記事参照)は、政府委員会からの許可を得た場合は可能となった。

(注1)大統領令第81号ではこのほか、持ち出し日時点のロシア中央銀行の公示レートで総額1万ドル以上の外貨現金および外貨建て金融商品のロシア国外への持ち出しを、3月2日から禁止した。

(注2)ロシア連邦の別の法律で規制、禁止されている場合は除く。

(注3)非友好国の外国企業との間で行われる有価証券の取引は、ロシア財務省が合意し、ロシア中央銀行の許可が得られた場合に可能。

(注4)ロシアの銀行が外国の銀行に持つコルレス口座への外貨送金は可能。

(菱川奈津子)

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