外国企業と合弁で上海最大の水素ステーション設置へ

(中国)

上海発

2022年03月08日

中国のエネルギーインフラの国有企業である申能集団傘下の申能能創能源発展と、フランスの産業ガスメーカーのエア・リキード中国、上海化学工業区投資実業は3月1日、上海市で3社による合弁会社の設立署名式を行った。合弁会社は上海市南部の金山区と奉賢区にまたがる上海化学工業園区に設置され、同工業園区内に水素充填(じゅうてん)ステーションの建設などを行う予定。

プロジェクトは2期に分けて進め、第1期は1億8,000万元(約32億4,000万円、1元=約18円)を投じて水素重点ステーションを建設する。同ステーションは2022年8月の稼働を目指しており、1日の水素充填能力が24トンの予定。原料の水素は工業園区内企業の副生水素(注)で、精製を経て燃料電池自動車で使用できる高純度水素になる。第2期では水素の液化と充填装置を建設する。完成すれば、上海市で充填能力が最大の水素ステーションとなる。将来の主な顧客としては、他の水素充填ステーションのほか、半導体、ファインケミカルなどの産業を想定している。

エア・リキード中国の柏呉天CEO(最高経営責任者)は「水素は炭素排出削減にとって非常に重要だ。上海化学工業園区には国際的な化学企業が多く立地し、中国の化学産業の低炭素化に取り組んでいる。今回の合弁事業を通じて、豊富な副生水素を利用し、よりクリーンな低炭素の水素を生産する。その水素を利用してクリーンな交通に一層貢献し、持続可能な発展をともに創造していきたい」と述べた。

中国は2030年のカーボンニュートラルと、2060年のカーボンピークアウトに向けて取り組んでいるが、日米欧韓などの外国企業も水素エネルギー関連の取り組みで、中国企業との提携を進めるなどの動きを活発化させている(2021年5月17日付地域・分析レポート参照)。

(注)他の製品を製造する際に副産物として生じる水素

(高橋大輔)

(中国)

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