2022年GDP成長率予測を2.8%に下方修正、ウクライナ情勢で減速

(スイス、ウクライナ)

ジュネーブ発

2022年03月22日

スイス連邦経済省経済事務局(SECO)は3月14日、2022年の実質GDP成長率予測(スポーツイベントが現在の予定どおり開催された効果を織り込んだ数値:注)を2.8%と発表した(プレスリリースPDFファイル(外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます)、添付資料表参照)。前回の発表(2021年12月13日記事参照)から0.2ポイント下方修正した。

2021年第4四半期のスイス経済は、新型コロナウイルス感染対策の強化措置により回復ペースは鈍化したものの、回復基調が継続した。ウクライナ情勢により先行きが大きく懸念される一方で、2022年に入り、スイス国内の経済は回復を続けており、労働市場は好調を呈している。雇用は順調に改善し、失業率は「新型コロナ危機」前の水準まで低下しており、一部のセクターでは熟練労働者の不足も懸念されている。新型コロナウイルス感染対策の規制解除によりサービス部門の大幅な回復が見込まれ、特に宿泊・飲食サービス業は急回復する余地がある。

SECOは、スイスのロシアやウクライナとの経済的な関係がそれほど強くないことから、ウクライナでの戦争がスイスに与える直接的な影響は限定的となる可能性が高いとの見方を示す一方で、間接的な影響は大きいとした。ロシアやウクライナの主要輸出品目であるエネルギー資源、食料、工業用金属などの価格は高騰しており、世界中でインフレ圧力が高まっている。スイス・フラン高により現在は国内の物価上昇圧力は抑制されているが、今後のインフレ率の上昇を見込み、2022年の消費者物価指数の上昇率予測を前回の1.1%から1.9%へ修正した。個人消費が打撃を受け、不確実性の高まりが投資環境に波及すると予測している。

こうした背景からSECOは、2022年のGDP成長率予測を2.8%に下方修正したが、このシナリオでは、スイスの主要貿易相手国が深刻な不況に至らず、特に欧州で大規模なエネルギー資源や原材料不足が生じないことを前提にしている。

SECOはまた、2023年には「新型コロナ危機」後の景気回復ペースが弱まりつつも、ウクライナ情勢が沈静化すれば経済が正常化するとの見方を示し、2023年のGDP成長率を前回予測と同じ2.0%に据え置いた。一方で、ウクライナ情勢による不確実性が非常に高く、戦況が一段とエスカレートしなくとも、景気下振れリスクがあるとした。ロシアからの原材料供給が途絶え、欧州で深刻な生産不足が生じれば、スイス経済も大きな打撃を受けるため、世界規模の価格高騰は、世界経済の成長鈍化につながるとした。SECOは国債や社債市場、不動産部門におけるリスクは国内外を問わず大きく、特に中国の不動産部門のリスクが大きいと指摘した。他方、新型コロナウイルス感染症拡大による不確実性については、新たな変異株発生の可能性を排除できないにせよ明らかに低下しているという見解を示した。

(注)スイスには、国際オリンピック委員会(IOC)、国際サッカー連盟(FIFA)、欧州サッカー連盟(UEFA)など主要国際イベントの本部がある為、イベント開催年に放映権収入がGDPを押し上げ、翌年マイナスに作用するのが通例。このため、SECOはこの影響を除いた調整値を別途算出している。

(竹原ベナルディス真紀子)

(スイス、ウクライナ)

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