RCEP発効、利用促進に向け計379情報を更新

(世界)

国際経済課

2022年03月03日

ジェトロは32日、全世界の自由貿易協定(FTA)の最新一覧をまとめたデータベース(注1)を更新した。20216月の前回更新後からの主な変更点は以下のとおり。

世界のFTAデータベース20221月までの新規署名、発効、改定、交渉状況を反映)。

11日時点(同日の署名・発効を含む)で確認できる発効済みのFTAは全部で379件となり、20216月の前回調査時点(369件)から10件増加した。

同日に地域的な包括的経済連携(RCEP)協定が発効し、ASEAN加盟10カ国と日本、オーストラリア、中国、韓国、ニュージーランドの計15カ国が参加する巨大な自由貿易圏が形成された。同日に発効した国は10カ国(日本、ブルネイ、カンボジア、ラオス、シンガポール、タイ、 ベトナム、オーストラリア、中国、ニュージーランド)。韓国では21日に発効、マレーシアでは318日に発効する。

日本商工会議所の発表によると、1月の日本からの輸出におけるRCEP協定の原産地証明書発給件数は671件となり、日本の発効済みFTAのうち、発効直後1カ月間の発給件数としては過去最大(注2)となった。

RCEPの今後のルールや手続きに関する理解の促進、活用拡大に向け、ジェトロはRCEP協定解説書PDFファイル(12.0MB)を公開し、協定の活用方法や留意点のほか、原産地証明書や原産地手続きの「第三者証明制度」のサンプルフォームなどを掲載している。

そのほか、20217月以降新規に発効したFTAは、EFTA・インドネシア包括的経済連携協定(202111月)、中国・カンボジアFTA20221月)、チリ・ブラジルFTA20221月)、台湾・ベリーズ経済協力協定(20221月)など。

環太平洋パートナーシップに関する包括的および先進的な協定(CPTPP、いわゆるTPP11)では、英国、中国、台湾、エクアドルの加入申請の動きがあった。英国はEU離脱移行期間終了に伴い、米国、ニュージーランド、アルジェリアなどと新たなFTA締結に向けて積極的に交渉を進めている。先行する英国の加入に向けた進捗では、2022218日、TPP11高級実務者による協議が行われ、英国の加入作業部会の第1回会合(2021928日開始)を終了することを締約国間で合意した。これを受け、加入作業部会議長の日本は英国に対し、市場アクセスのオファーなどを加入作業部会に提出するよう伝達。英国は原則30日以内に具体的なオファーを提出することになる。

また、日タイ経済連携協定(JTEPA)は付属書2と運用上の手続き規則を改正した。改正に伴い、付属書2の品目別規則(PSR)で適用されるHSコードが2017年版に変更される(注3)。運用上の手続き規則は202211日に発効している。また、同規則の改正に伴い、日本国内のJTEPAに基づく原産地証明書の発給は、14日以降の発給申請分から、従来の専用紙での発給を廃止し、全てPDFファイル形式による電子発給に切り替わっている。

日本・ASEAN包括的経済連携協定については、202112月にインドネシア政府が国内手続を完了したとの通告を行ったことから、21日から全ての構成国について第1改正議定書が発効した。改正後はサービス貿易や自然人の移動、投資に関する自由化規定が現行協定に追加される。これによって、これまで以上の幅広い分野で日ASEANのビジネス関係が深化することが期待される。

(注1WTOに通報されていない協定や発効前のFTAも可能な限り掲載しており、日本語で検索できる本格的なデータベース。ジェトロが公開したデータベースには、日本が締約国に含まれる協定や、関心と活用頻度の高い一部FTAの運用上の課題、サービス分野の自由化傾向の内容を記載している。これまでにジェトロが作成したFTA活用マニュアルへのリンクも掲載。

(注2)日本商工会議所が原産地証明書の発給を担う「第一種特定原産地証明書制度」を採用しているFTAが対象。

(注3)取得済みの原産品判定番号については、各産品の判定依頼者が日商の特定原産地証明書発給システム上で、HS2017に変更後も原産品判定に影響を与えないことや変更後のHSコードを確認・宣誓することで、20221月以降も継続して利用することが可能。

(伊尾木智子)

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