米カナダ国境の橋封鎖による自動車業界の損失は約3億ドル、米コンサル試算

(米国、カナダ)

ニューヨーク発

2022年02月16日

米国コンサルティング会社アンダーソンエコノミックグループ(AEG)は2月14日、新型コロナウイルスのワクチン接種義務化に抗議するカナダのトラック運転手らによる、米国との国境の橋閉鎖(2022年2月8日記事参照)で自動車業界が受ける損失額は、合計2億9,990万ドルに上るとの試算を発表した。米デトロイト市とカナダのウィンザー市を結ぶアンバサダー橋は、6日間の閉鎖を経て2月13日に開通(2022年2月14日記事参照)したが、専門家は将来の閉鎖の可能性も含め、混乱が続く可能性を指摘している。

今回発表の損失額は、物流の停滞による操業停止などで自動車メーカーが被る1億5,500万ドルと、労働者へ支払われるはずだった賃金1億4,490万ドルの合計。アンバサダー橋は1日当たり約8,000台のトラックが往来すると言われ、その多くが自動車部品を運搬する。AEGは、損失の多くが米ミシガン州やカナダ・オンタリオ州などにある自動車メーカー〔トヨタ、ホンダ、ゼネラルモーターズ(GM)、フォード、ステランティス〕のほか、それぞれに関連する一連のサプライヤー(ティア1、ティア2)や輸送業者で発生したものとして試算した。

今回の混乱に対し、GMはミシガン州の工場で2シフトを削減したほか、トラックの経路の変更などで対応した。フォードは2月11日にオハイオ州の工場などでの生産を停止し、ステランティスも7日の週にカナダ、米国で複数のシフト終了時間を切り上げた。トヨタも部品の調達不足のため、人気モデルのスポーツ用多目的車(SUV)「RAV4」を製造するオンタリオ州の工場での生産を10日から停止しており、米ケンタッキー州、アラバマ州、ウェストバージニア州の工場も影響を受けている。

アンバサダー橋は既に再開しているものの、トヨタは生産現場の混乱は14日の週も続くとみている(CBS 2月11日)。ホンダも11日にオンタリオ州アリストン工場での生産を停止して対応するなど、影響は広範囲に及んでいる。

(大原典子)

(米国、カナダ)

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