カナダ・オタワで非常事態宣言、トラック運転手らのワクチン義務化抗議デモ

(カナダ)

トロント発

2022年02月08日

カナダ・オタワで1月末から続いているトラック運転手らによる新型コロナウイルスワクチンの接種義務化に対する抗議デモ「フリーダムコンボイ(自由のための車両隊列)」の影響を受けて、オタワのジム・ワトソン市長は2月6日午後、非常事態宣言を発令した外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます

抗議デモ開始以来、オタワの国会議事堂周辺の道路は多くのトラックなど大型車両でふさがれている。学校や市庁舎、図書館、ワクチン接種会場、ショッピングモールなど店舗も閉鎖され、市民は自由に外出もできない状況だ。また、抗議参加者による国立戦争記念碑や無名戦士の墓、カナダの英雄テリー・フォックス像に行った冒涜(ぼうとく)行為、ホームレスへの炊き出しボランティアに対する嫌がらせ、人種差別的な旗の掲揚などが問題視されている。

抗議デモはトラック運転手のワクチン接種義務化に抗議するものというが、カナダトラック同盟(CTA)によると、ドライバーの大多数がワクチン接種を受けており、多くの抗議参加者はトラック業界とは関係がないとしている。また、オタワの住民グループは、ダウンタウン中心部に駐車しているデモ隊が一日中クラクションを鳴らすのをやめるよう求めて訴訟を起こすなど、抗議団への反対運動も起きている。

一方、トロントでは5日にオンタリオ州議会議事堂周辺で抗議デモが実施されるという情報が広まり、在トロント日本総領事館からも警戒を促す通知があった。実際には、議事堂周辺の道路は当局によって封鎖され、車両は進入できなかったため、デモ参加者は車道を歩行。暴力的あるいは危険な感じは全くなく、子供連れの家族も見られるなど、一般市民が国旗を持って歩いているといった雰囲気だった。周辺は自動車のクラクションで騒然としたものの、参加者がスローガンを叫んだり、マイクで演説したりするなどはなかった。交通規制区域からすぐ北の道路では、国旗を掲げた自動車でひどく渋滞していたが、トラックの数も少なく、大半は普通乗用車だった。また、翌6日には近くの公園に若干のデモ参加者がいた程度で、平和的に終わった様子だ。

写真 トロントでの5日の抗議デモの様子(ジェトロ撮影)

トロントでの5日の抗議デモの様子(ジェトロ撮影)

(江崎江里子)

(カナダ)

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