新型コロナ関連規制を大幅緩和も、ワクチン接種義務法は維持

(オーストリア)

ウィーン発

2022年02月18日

オーストリアのカール・ネハンマー首相は2月16日、新型コロナウイルス感染拡大に伴う規制の緩和を発表した。同首相は、新型コロナ危機管理委員会(GEKKO)の判断や各州知事との協議の上、現在の規制を大幅に緩和することを決定した、と述べた。これにより、3月5日から以下の規制措置が廃止される。

  • 施設への入場規制、人数制限
  • 営業時間の制限、深夜営業の店の営業禁止
  • イベント時の飲食

マスク着用義務も大幅に緩和されるが、生活必需品の店舗(スーパーマーケット、銀行、郵便局、薬局など)や公共交通機関では引き続き着用義務がある。また、高齢者・介護施設や病院でも医療用(FFP2)マスク着用義務が維持される。

懸案のワクチン接種義務法(2022年1月24日記事参照)については、今秋の感染拡大を見据えて今後の接種率を引き上げるために維持される。

全国的に大幅規制緩和に向かう中、ウィーン市だけは、これまでどおりの規制を維持する方針だ。生活必需品以外の小売店の入場にもFFP2マスク着用義務を継続し、飲食店の入場にも「2Gルール」(ワクチン接種または回復証明の提示義務)を維持すると発表した。また、3月5日からは深夜営業の店舗の営業が解禁されるが、2Gルールまたは「2G+(プラス)ルール」(ワクチン接種証明または回復証明に加え、PCR検査による陰性証明の提示義務付け)を設ける。

今回の新型コロナウイルスに関する規制の大幅な緩和を、ホテル業、飲食業、小売業、深夜営業店の業界団体は歓迎し、ウィーン市を除く各州知事も一定の評価を与える一方、野党や専門家は懸念を表明している。ワクチン接種義務法案に賛成した社民党は、緩和の理由の不透明性を指摘し、より慎重に進めるべきだと述べたのに対し、同法案に賛成票を投じたネオス党は、緩和策の実施が遅すぎると指摘。ワクチン接種義務法や政府の新型コロナウイルス感染対策に反対した自由党とMFG党は、同法および全ての対策の撤回を要求している。また、麻酔、心肺蘇生、集中医療専門の医師団体(ÖGARI)は「感染者数の減少傾向がはっきりするまで待つべきで、緩和は時期尚早ではないか」と述べている。

(田中由美子)

(オーストリア)

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