米消費者団体など、包装容器などへのビスフェノールA使用規制の請願書をFDAに提出

(米国)

シカゴ発

2022年02月22日

米国の医師や科学者、消費者、環境・公衆衛生団体(注1)は1月27日、米国食品医薬品局(FDA)に対して、ビスフェノールA(BPA)の食品の包装容器などへの使用規制を求める請願書を提出した。

BPAは主にポリカーボネート、エポキシ樹脂と呼ばれるプラスチックの原料の化学物質で、一部の食品用プラスチック容器などの原料として使用されている。また、BPAは内分泌系などの健康被害が懸念される物質として数多くの試験研究が行われている。

今回の請願書は、2013年以降に公表された食事によって暴露されるBPAに関する健康への影響評価に関する調査結果を基に提出したものとしている。その中で、欧州食品安全機関(EFSA)が2021年12月に最新の調査結果を発表し、同機関の専門家委員会はBPAの耐用1日摂取量(TDI、注2)について、0.04ng/kg体重/日と評価し、健康被害として免疫系への害が最も大きいと指摘した。一方、FDAは米国居住者のBPAの暴露量について2014年に推定しており、その推定値は2歳以上の場合は同500ng、2歳未満の場合は同200ngと発表している。これらを踏まえ、請願書では、米国居住者はEFSA専門家委員会の安全性評価レベル(同0.04ng)の少なくとも5,000倍以上のBPAの暴露を受けていることとなり、健康上の高いリスクを有していることから、食品の包装容器などから食品へのBPAの移行について食品1キロ当たり0.5ng未満に規制するようFDAに求めている。

米国のBPA規制については、カリフォルニア州で現在、プロポジション65に基づいてBPAが含まれている食品の包装容器などについては当該物質が含まれているとの警告表示を記載する必要があるが(2018年2月13日記事参照)、哺乳瓶、乳児用ミルクなどの食品包装を除き、FDAによる全米を対象とした規制は行われていない。今後、FDAは原則180日以内に請願書への回答を行うことが求められる。

(注1)この請願書は以下が提出した。環境保護基金、乳がん予防パートナーズ、クリーンウォーターアクション、コンシューマーレポート、内分泌学会、環境ワーキンググループ、健康な赤ちゃんの明るい未来団体、マリセル・マフィニ博士、リンダ・ビーンバウム博士。

(注2)耐用1日摂取量(TDI)とは、人が一生涯に摂取しても健康に対する有害な影響が現れないと判断される体重1キロ当たりの1日摂取量をいう。

(藤本富士王)

(米国)

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