鉱業投資は銅・リチウムを中心に過去2年間で93億ドルに
(アルゼンチン)
ブエノスアイレス発
2022年02月01日
アルゼンチン鉱業庁は1月12日、2020年1月から2021年12月にかけての鉱山開発プロジェクトへの投資額(発表ベース)が93億1,436万ドルに達したと発表した(注)。
鉱山開発プロジェクトへの投資額の約8割を、アルゼンチン中西部のサン・フアン州と、北西部のサルタ州におけるプロジェクトが占めた(添付資料表1参照)。サン・フアン州での大型プロジェクトは2つ。1つは、カナダのルンディン・マイニングによる同州ホセマリア地域における銅・金・銀鉱山開発プロジェクトへの42億ドルの投資。もう1つは、カナダのバリック・ゴールドと中国の山東黄金集団の合弁会社であるバリック・ゴールド・シャンドンによる、ベラデロ金鉱山のマインライフ延長開発に関する投資2億2,500万ドルだ。サルタ州における主なプロジェクトは、韓国ポスコによるサル・デ・オロ・リチウム開発プロジェクトへの8億3,100万ドルの投資、中国のガンフェン・リチウム(江西贛鋒鋰業)によるリチウム開発投資、カナダのフォーチュナ・シルバー・マインズによる金鉱山開発への投資、などだ。
資源別では、銅が46億840万ドルで全体の約5割、続いてリチウムが33億8,250万ドルで4割近くとなっている(添付資料表2参照)。投資企業の国籍別では、巨額の投資を発表したルンディン・マイニングを擁するカナダが54億8,500万ドルと全体の約6割を占めたが、中国や韓国の存在感も大きい(添付資料表3参照)。
アルゼンチンで鉱山開発を行う外資企業同士の買収・合弁も活発で、2020年1月から2021年末までの2年間でその総額は52億8,100万ドルに達した。主な案件は、フフイ州のオラロス塩湖でリチウムを開発するオーストラリアのオロコブレと同ギャラクシー・リソーシズの合併だ。その他、中国の紫金鉱業集団による、カタマルカ州にリチウムの開発権益を持つカナダのネオリチウム買収など、中国企業の動きもみられた。
債務問題を背景に、厳しい資本取引規制が導入されているアルゼンチンは、直接投資資金が入りにくい状況にあるが、輸出を目的とした1億ドル以上の新規投資または再投資を対象に、輸出代金の一部を外国への支払いに充てることができる優遇措置「輸出のための投資強化制度」が2021年4月に導入された(2021年4月15日記事参照)。また、投資の決定に際して各社は、連邦政府と個別に投資のための条件を交渉しているともいわれている。
(注)鉱山開発プロジェクトではない、YPFリチウムによるブエノスアイレス州におけるリチウム電池の生産への2,500万ドルへの投資も含む。
(西澤裕介)
(アルゼンチン)
ビジネス短信 9200b7e256b16b5f