米USTR次席代表、中国の米中第1段階合意の不履行を批判

(米国、中国)

米州課

2022年02月02日

米国通商代表部(USTR)のサラ・ビアンキ次席代表は2月1日、ワシントン国際貿易協会(WITA)主催のオンラインイベントで講演を行った。ドナルド・トランプ前政権下で締結され、2021年末に期限を迎えた第1段階の米中経済貿易協定について、「中国が約束を果たしていないことは明らかだ。中国の国家主導かつ非市場的な政策は、われわれの経済的な利益に対する深刻な脅威であり、これからも中国政府に懸念を伝え続ける」と述べた(通商専門誌「インサイドUSトレード」2月1日)。

両国は2020年1月、中国が今後2年間で米国の製品とサービスの輸入を2017年比で2,000億ドル増やすことで合意し(2020年2月21日記事参照)、当該製品とサービスには、工業製品や食料品、農産品、魚介類、エネルギー製品、サービスが含まれていた。しかし、米国のシンクタンクのピーターソン国際経済研究所(PIIE)が2021年12月23日に発表した調査結果によると、中国は同年11月時点で合意目標の62%しか達成しておらず、製品ごとの達成率は農産品76%、工業製品62%、エネルギー47%だった(2022年1月12日記事参照)。

中国商務部の高峰報道官は12月23日の定期記者会見で「中国は新型コロナウイルスの流行、世界的な景気後退、サプライチェーンの混乱などの課題に直面しながらも、米国と共に第1段階の米中経済貿易協定を履行するよう推進してきた。われわれは、米国が2国間の貿易を拡大するために良好な環境と条件を作り出すことを望んでいる」と発言していた。

ビアンキUSTR次席代表は講演の中で「バイデン政権は中国との緊張を高めることを望んでいないが、中国が責任を果たすことを確認するために、われわれが取り得るあらゆる手段を確認しなければならない。また、必要に応じて、新たな手段を講じる」と述べた。

ジョー・バイデン政権は現在、中国を念頭に提唱した「インド太平洋経済枠組み(IPEF)」の構想を具体化する作業を行っているが、ビアンキ次席代表は同構想についても触れ、「貿易に関して、デジタル分野や労働分野、環境分野のいずれでも、貿易相手国との拘束力ある約束を求めることになる」と指摘した。

(片岡一生)

(米国、中国)

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