フランス、国内生産支援で10万人の雇用を維持・創出

(フランス)

パリ発

2022年02月25日

フランスの経済・財務・復興省は2月17日、戦略的な物資の国内生産と海外からの生産回帰を支援する補助金制度について、新たに72件のプロジェクトを選定し、1億2,200万ユーロの補助金を支給したと発表した(プレスリリース外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます)。同措置は経済復興策(2020年9月7日記事参照)に盛り込まれたもので、政府はこれまでに477件のプロジェクトに総額8億4,650万ユーロの補助金を支給した(支給額は案件ごとに異なる)。中小企業によるプロジェクトが311件と全体の65%を占め、合わせて約5万人の雇用が創出・維持された。

支援措置の適用対象となる5つの戦略分野のうち、金属・化学品の国産化、レアアースの回収・リサイクルといった素材部門への補助金支給額が3億1,700万ユーロと最も大きく(支援件数は120件)、これに医薬品分野の1億5,800万ユーロ(128件)、エレクトロニクス分野の1億4,100万ユーロ(107件)が続く。食品分野では植物性タンパク質や添加物の国内生産増強などに1億3,200万ユーロ(97件)、第5世代移動通信システム(5G)には9,800万ユーロ(25件)の補助金が支給された。

政府は、新型コロナウイルス感染症の拡大で顕在化した脆弱(ぜいじゃく)なサプライチェーンを補強し産業上の国家主権を取り戻すことを目的に、経済復興策および第4次未来投資計画の中に国内製造業の支援措置を盛り込んでいる。上記の5つの戦略部門における国内生産・生産回帰支援措置とは別に、新型コロナウイルスに対応するワクチン・医薬品の国内生産増強支援措置「キャパシティ・ビルディング」に6億7,100万ユーロ、地方における製造業支援措置「テリトワール・ダンドゥストリー」に9億5,000万ユーロ(うち国が7億ユーロ、地域圏が2億5,000万ユーロを負担)の予算を充てた。

経済・財務・復興省の発表によれば、これら3つの措置を通じ合計782件のプロジェクトに16億ユーロの補助金が支給され、54億ユーロの設備投資が実現するとともに、約10万人の国内雇用が創出または維持された。「キャパシティ・ビルディング」は新型コロナワクチンの工場建設など59件のプロジェクトを通じ3,200人の雇用を創出する一方、「テリトワール・ダンドゥストリー」は246件の国内生産回帰を含む1,800件以上のプロジェクトに1億1,500万ユーロの補助金を支給し、6,800人の雇用創出と3万7,500人の雇用維持につなげた。

(山崎あき)

(フランス)

ビジネス短信 5e2356aa90fe2c11