総額1,000億ユーロの経済復興策の詳細発表

(フランス)

パリ発

2020年09月07日

フランス政府は9月3日、総額1,000億ユーロの経済復興策PDFファイル(外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます)の詳細を発表した。2030年を見据えて社会全体の転換を加速させ、将来のフランスを準備する対策と位置付けた。持続可能な経済への移行を促す環境政策と、企業の競争力強化、世代間・地域間の連帯をベースにした社会的結束の3つが優先課題となる。経済復興策の実施により、新型コロナウイルス感染拡大の影響で弱体化したフランス経済を2022年までに「コロナ危機」以前の水準まで立て直す。

1,000億ユーロのうち300億ユーロを環境政策に充てる。建造物の省エネ改築支援(67億ユーロ)、製造業の脱炭素化促進(12億ユーロ)、鉄道部門支援(47億ユーロ)、環境に優しい農業への転換(25億ユーロ)、水素関連支援(20億ユーロ、2030年までに70億ユーロ)のほか、低公害車への買い替え支援措置(19億ユーロ)の継続などが柱となる。

企業の競争力強化には340億ユーロを充てる。このうち200億ユーロは企業減税となる。企業付加価値負担金(CVAE)などの生産に関わる税(外形標準課税)を2021年に100億ユーロ、2022年に100億ユーロ減税する。さらに、企業の自己資本強化に向け、経済復興に関わる零細・中小企業への投資や長期融資に公的保証を供与する(30億ユーロ)。また、医薬・健康、食品、デジタル技術などの戦略分野における研究開発や製造業の国内回帰支援に10億ユーロを充てる。第4次未来投資計画(2021~2025年)を立ち上げ、2022年までに約110億ユーロを次世代技術の開発に投資する。

残りの360億ユーロは社会的結束に向け、一時帰休制度の長期化などの雇用維持政策(76億ユーロ)や医療機関への投資(今後5年間で60億ユーロ)、地方自治体への財政支援(50億ユーロ)、若者雇用支援と促進(67億ユーロ)などに充てる。

今回発表した経済復興策は、新型コロナウイルス感染拡大に伴って2020年3月以降、政府が実施してきた総額4,700億ユーロの緊急支援策に続き、追加で実施するもの。1,000億ユーロのうち400億ユーロはEUからの資金供与となる。残りの600億ユーロは経済復興による税収増を見込んでおり、増税は行わないことを確認した。

(山崎あき)

(フランス)

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