ポーランド、ウクライナへの支援をあらためて表明

(ポーランド、ウクライナ)

ワルシャワ発

2022年02月28日

ポーランドのマテウシュ・モラビエツキ首相は2月24日に議会下院で演説し、ロシアによる軍事行動を受けているウクライナ(2022年2月25日記事参照)への支援をあらためて表明した。この中で、同首相は、ウクライナからの難民に人道援助を提供することを強調した。また、「ウクライナが領土の保全を回復し、かつポーランドが継続的な安全を確保できるかどうかは、ロシアの侵略に対する確固たる対応にかかっている」とし、強力な制裁パッケージの実施とEU東部におけるNATOの軍備強化を訴えた。ポーランド外務省は同日、ウクライナへの渡航中止と、ウクライナに滞在するポーランド人のウクライナ退避の勧告を開始した。

ポーランド中央銀行(NBP)も同日、ウクライナ国立銀行(NBU、中央銀行)に必要な全てのサポートを提供することを発表した。NBUとのFXスワップラインを最大40億ズロチ(約1,080億円、1ズロチ=約27円)まで更新することを決定した。ポーランド通貨のズロチは2月23日の夜に急激に下落し、翌24日には2022年初めて1ユーロ=4.60ズロチを超えた。

現在、ウクライナでの武力紛争から逃れる場合、ポーランドへの入国が特別に許可されており、2月25日からはウクライナからポーランドへ国境を越える人は、検疫を受ける義務が免除されている。また、ポーランドでの滞在する場所がない場合、政府から一時的な宿泊施設や食事などの提供を受けることができる。ポーランド商工会議所と在ポーランド・ウクライナ商工会議所は共同でウクライナ支援基金を設立、赤十字社や人道支援団体なども募金を開始している。ポーランドの大手キャリアが、ウクライナとの国際通信を大幅に割引もしくは無料にする動きもみられる。

マリウシュ・ブワシュチャク国防相は2月24日、ウクライナの状況の監視および軍の体制強化を発表した。また、これに先んじて、21日にはモラビエツキ首相が、テロ対策法で定められた4段階のアラートのうち3番目に高いアラート・レベルを全国に適用した。サイバー攻撃に備えるとされている。また、全国放送評議会は24日、ロシアの番組〔RT(Russia Today)、RT Documentary、RTR Planeta、Soyuz TV、Russija24〕のポーランドでの放映を中止する決議を採択した。ポーランドの安全と防衛の観点、およびウクライナ侵略に関するロシアのプロパガンダ拡散阻止のためとされている。

(今西遼香、ニーナ・ルッベ)

(ポーランド、ウクライナ)

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