ルーマニア政府、ウクライナ情勢緊迫を受けた米軍増派を歓迎、世論も支持

(ルーマニア、ウクライナ、ロシア)

ブカレスト発

2022年02月08日

ルーマニアのニコラエ・ヨネル・チウカ首相は2月2日、ルーマニアのEU加盟15周年を祝う上下両院議会で、ドイツに駐留する米軍部隊1,000人がルーマニアの米軍基地に移動し増派される(2022年2月3日記事参照)ことを「期待していた予防措置」だとした。

両院議会にはルーマニアを2日間の日程で公式訪問中のフランスのジャン=イブ・ル・ドリアン欧州・外相も出席した。ドリアン欧州・外相は翌3日、同じくルーマニアを訪問中のウクライナのドミトロ・クレバ外相とともにルーマニアのボグダン・ルチアン・アウレスク外相が主宰するブカレスト9(注1)外相会議にも参加した。両院議会でマーチェル・チョラク下院議長は、NATO軍はルーマニアとブルガリアから去るべきしたロシアのウラジーミル・プーチン大統領の声明についてコメントを求められた際、ルーマニアの領土でわれわれが何をするかをロシアに口出しされる筋合いはないとし、ルーマニアはウクライナ情勢をめぐる問題をエスカレートさせるような声明を出すべきではないが、NATO加盟国で米軍のパートナーであることを疑う余地はないと強調した。バシレ・フロリン・クツ上院議長(前首相)は「〔イージス・アショア(陸上迎撃ミサイル防衛システム)が配備されている〕デベセル米空軍基地を撤収せよなどというロシアの要求は根拠がない」と述べ、ルーマニアの独立と尊厳はルーマニア自身が決めるよう見解を示した(2月3日「ナインオクロック」)。

ルーマニアのクラウス・ヨハニス大統領は2日、北西部クルージュ県にあるルーマニア空軍基地を訪問。同大統領は「武力による現状変更と自由主義への挑戦が試みられ、欧州の安全保障が脅かされている。NATOと連帯してサイバースペース(注2)も含むハイブリッド攻撃に対抗する十分な準備が必要だ」と述べ、軍備近代化のため10年間にわたってGDP比で2%以上を防衛費に支出する2015年の議決を評価、また、米国のジョー・バイデン大統領とフランスのエマニュエル・マクロン大統領による、米軍とフランス軍のルーマニア派兵決定を歓迎した(2月3日「ナインオクロック」)。

ルーマニアの調査会社INSCOPが1月11日から18日まで、国内18歳以上の1,162人から聞き取った世論調査によると、ウクライナ情勢が緊迫化する中で「NATOはルーマニアを防衛してくれるか」という問いに対し、70.3%が肯定、20.3%が否定した。「ルーマニアはNATOを離脱すべきか」という問いには、76.2%が否定(残留すべき)、18.7%が肯定した。「米軍基地はルーマニアを防衛してくれるか」という問いに対し、74.7%が肯定、20.6%が否定した。また「次の機関や国をどの程度信頼するか」との問いで、60.6%がNATOを、55.9%がEUを、51.8%がドイツを、50.0%が米国を、38.5%がフランスを、18.0%がロシアを、17.2%が中国を、それぞれ信頼すると回答した。世論も大半は軍事面でも経済面でも親欧米派であることを示し、政府首脳の発言を裏付けるものとなった。

(注1)ルーマニアとポーランドの両大統領が2015年11月に、ロシアによる2014年のクリミア併合を機に発起した9カ国会議。2カ国のほかブルガリア、チェコ、エストニア、ハンガリー、ラトビア、リトアニア、スロバキアが参加国。2021年5月10日、この会議にバイデン米大統領、イェンス・ストルテンベルグNATO事務総長、アントニー・ブリンケン米国務長官が参加した。

(注2)コンピュータやネットワークによって構築された仮想的な空間

(西澤成世)

(ルーマニア、ウクライナ、ロシア)

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