米政府、ウクライナ情勢受けて東欧へ増派、上院は対ロ制裁法案を準備

(米国、ウクライナ、ロシア)

ニューヨーク発

2022年02月03日

米国防総省のジョン・カービー報道官は2月2日、ウクライナ情勢が緊迫していることを受けて、数日以内に約3,000人の兵員をルーマニアとポーランド、ドイツに派遣すると発表した。うち1,000人はドイツに既に駐在している部隊をルーマニアに移動するとした。

国防総省は1月24日、事態が急変したときのために、NATOとして約8,500人の米兵が緊急に出動できる態勢を整備すると発表していたが、今回の部隊はそれに追加するかたちの派兵になるとしている。また、カービー報道官は、これらの動きは恒久的なものではなく、ウクライナ国内で戦闘を行うことはないとし、あくまでもウクライナとの国境近辺に軍隊を増派しているロシアを牽制し、欧州の安定を支援するものとの考えを示した。

ウクライナ情勢を受けて、米連邦議会上院では、同国への支援とロシアへの制裁を含んだ法案策定に向けた調整が最終局面に入っている。上院外交委員会のボブ・メネンデス委員長(民主党、ニュージャージー州)とジム・リッシュ少数党筆頭理事(共和、アイダホ州)は1月30日にともにCNNのテレビインタビューに出演し、法案内容に関する両党での合意が間近との共通認識を示した。

法案内容は、民主党議員らが起案した「ウクライナ主権防衛法案外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます」を土台に、両党間で議論が進んでいるとみられる。民主党起案の同法案の主要な対ロ制裁内容としては、ロシアがウクライナに侵攻した場合に、ロシア政府高官や同国金融機関への制裁、国際銀行間通信協会(SWIFT)などの金融通信サービスが制裁対象のロシア金融機関にサービスを提供した場合の制裁、ロシアのソブリン債取引の禁止といった項目が含まれている。しかし、ロシアからドイツに天然ガスを輸送するパイプライン「ノード・ストリーム2」に関しては、稼働開始を阻止するために取り得る全ての措置を検討するとともに、政権に対して同パイプラインに関する制裁の適用除外措置(注)を見直すよう指示するとの内容にとどまっている。共和党は以前から同パイプラインに対して、厳しい制裁措置が必要との認識を示しており、この点が両党間の議論の焦点になっているとみられる。また、上院外交委での調整で合意できても、本会議での可決に必要な賛成票を残りの共和党議員から得られるかは不透明との報道も出ている(2月2日付米政治誌「パンチボウル」)。

バイデン政権としては、ジェン・サキ大統領報道官が1月31日、ロシアがウクライナに侵攻した場合に備えて、ロシア大統領府(クレムリン)の関係者とその家族を対象とした制裁パッケージを準備していると発言している。

(注)米国務省は2021年5月に、同パイプラインの運営会社ノード・ストリーム2AGと同社CEO(最高経営責任者)でウラジーミル・プーチン・ロシア大統領に近いとされるマシアス・バルニグ氏について、制裁対象になると結論付ける一方、ドイツとの関係悪化の懸念などから、制裁の適用を除外している。

(磯部真一)

(米国、ウクライナ、ロシア)

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