欧州委、ウクライナへの緊急財政支援を提案

(ウクライナ、EU、ドイツ)

ワルシャワ発

2022年01月31日

欧州委員会のウルズラ・フォン・デア・ライエン委員長は1月24日、ロシアとウクライナの国境付近で軍事的緊張が高まっていることを受け、ウクライナへの緊急財政支援策を発表した(プレスリリース)外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます。同委員長はEU理事会(閣僚理事会)と欧州議会に対し、早急に同案を承認するよう呼び掛けた。

支援策は、融資と補助金の組み合わせからなる。前者については総額12億ユーロで、EU理事会と欧州議会の承認が下り次第、6億ユーロの第1トランシェ(分割融資)を迅速に行うとした。また、ウクライナの近代化を目的とした長期的な財政支援策を検討するとしている。補助金については、2022年の予定額を1億2,000万ユーロ増額する。ロイター通信(1月24日)によると、当初予定額は1億6,000万ユーロだった。

1月25日には、EUの主要国であるドイツのオラフ・ショルツ首相とフランスのエマニュエル・マクロン大統領がベルリンで会談し、ロシアとウクライナの国境付近での軍事的緊張の緩和に向け、外交努力を続けることを確認した。また、ドイツのアンナレナ・ベアボック外相は1月17日、就任後初めてウクライナを公式訪問し、ボロディミル・ゼレンスキー大統領やドミトロ・クレバ外相と会談した。その中で、バルト海底を経由してロシアからの天然ガスをドイツへ供給するパイプライン「ノルド・ストリーム2」の地政学的なリスクについて言及し、エネルギー安全保障を強化するためにウクライナでグリーンエネルギーのインフラを構築し、代替エネルギー源を開発することについて話し合われた。ウクライナは、再生可能エネルギーの積極的な開発に取り組んでおり、EUへの「グリーン」水素の主要サプライヤーになることを目指している。ウクライナ水素評議会によると、ドイツ政府は近くウクライナに事務所を開設し、関連プロジェクトを実施する予定だ。

なお、ドイツは、軍事的緊張の緩和に向けたウクライナへの武器の提供を否定している(1月26日付ドイツ連邦国防省発表)外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます

(今西遼香、マルタ・ゴロンカ)

(ウクライナ、EU、ドイツ)

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