水際対策を緩和、ワクチン・トラベルレーンを拡大へ

(シンガポール)

シンガポール発

2022年02月18日

新型コロナウイルスのシンガポール政府タスクフォースは2月16日、ワクチン接種完了者を対象に相互に隔離なしの渡航が可能な「ワクチン・トラベルレーン(VTL)」の対象国・地域の拡大など、水際対策の一部緩和を発表した。

民間航空庁(CAAS)の同日の発表によると、シンガポールはVTLを利用して入国する渡航者の1日当たりの上限を現行の5,000人から、3月4日までに段階的に1万5,000人へと増やしていく。また、同国はカタール、サウジアラビア、アラブ首長国(UAE)とのVTLの申請の受け付けを2月22日から始める。さらに、香港を2月25日から一方通行のVTLの対象とし、香港からVTLを利用してシンガポールに入国した渡航者の隔離を免除する。ただ、シンガポールから香港への渡航者は、隔離の対象となる。このほか、シンガポールは3月4日から、イスラエルとフィリピンとの双方向のVTLを開始する予定だ(注1)。

また、海事港湾庁(MPA)は同日、隣国インドネシアのバタム、ビンタン両島との海路のVTLを2月25から開始すると発表した。MPAによると、シンガポールはバタム島のノングサプラ・インターナショナル・フェリータミナルから1週間当たり最大350人、ビンタン島のバンダール・ビンタン・テラニ・フェリーターミナルから同350人を受け入れる(注2)。インドネシア政府は1月24日から、シンガポールから両島への渡航者を隔離なしで受け入れる一方通行のトラベルバブルを始めていたが、今回のVTLの開始により、双方向での隔離なしの渡航が始まる(2022年1月27日記事参照)。

政府タスクフォースは、各国・地域の感染・ワクチン接種状況に応じて4つに分類していた現行の水際対策を2月21日午後11時59分から改定する。既存のカテゴリー2、3、4について「一般」のカテゴリーに統合するとともに、感染状況が厳しい国々・地域について「制限国・地域」という新カテゴリーを設ける(注3)。

政府タスクフォースは水際対策の改定について、国内の感染状況が海外の多くの国々とほぼ同じとして、「新型コロナウイルスのワクチン接種が完了した、重症化リスクの少ない渡航者の入国を促進する方針へと転換する」と述べた。同国では、オミクロン型変異株の感染が拡大しており、2月15日の感染者が1万9,420人と過去最高に達した。オン・イエクン保健相は、約2万人まで感染者が増えるのは想定の範囲内で、ICU(集中治療室)病床の患者については20~30人とデルタ株感染拡大時に比べると非常に少なくなっている、と指摘した。

(注1)VTLの対象国・地域の詳細と最新の手続きと検査義務については、入国管理局(ICA)のVTLに関する説明のホームページ外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます参照。

(注2)インドネシアのバタム、ビンタン両島との海路のVTLの詳細外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますについてはMPAの発表を参照。

(注3)渡航国・地域のカテゴリー別の最新の必要検査、隔離義務の詳細はICAのセーフトラベルのホームページ外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます参照。

(本田智津絵)

(シンガポール)

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