住友林業、オースティン近郊で大規模宅地開発

(米国)

ヒューストン発

2022年02月21日

住友林業は2月1日、世界的大手デベロッパーのハインズ(本社:テキサス州ヒューストン)と共同で、テキサス州オースティン近郊で大規模宅地開発に参画したと発表した。570ヘクタール(東京ドーム約122個分)の用地に2,500区画の戸建て、20 ヘクタールの集合住宅、30ヘクタールの商業用地の開発を計画、2032年7月まで段階的に開発していく。

住友林業の米国子会社スミトモ・フォレストリー・アメリカ(本社:ワシントン州ベルビュー)とハインズのほか、米国とカナダの投資会社が出資する。ハインズが開発管理を担い、住友林業は分譲地内の施設や景観、区画割りなどに関する住宅購入者のニーズなどをハインズに提供する。住友林業はこれまでも、米国内ではハインズとテキサス州フォートワース、バージニア州ラウドン郡で宅地開発の協業実績がある。

開発地は、オースティンの中心から南東約20キロ。郊外の雰囲気を持ちながら、サーキット・オブ・ジ・アメリカズ(F1レース場)やオースティン国際空港、近隣のレストランや公園、ライブハウスなどへ15分以内でアクセスできるという。

オースティンの不動産市場は、近年の人口増、企業の移転、拡張で活況を呈している(注)。連邦住宅金融庁(FHFA)の米国都市圏住宅価格指数(1991年1月=100)をみると、2021年第3四半期時点でオースティン都市圏は718.81。ダラス都市圏の379.49、ヒューストン都市圏の367.12と比べても急激に上昇しており、オースティンでの不動産人気の高まりが伺える。

テキサス州での日系企業による最近の不動産開発例には、大和ハウス工業の米国子会社などによるダラス市の高層賃貸住宅「アトリエ」や、ヒューストン市で開発中の超高層賃貸住宅「ブロック98プロジェクト」などがある。

住友林業が組むハインズは、「ヒューストンのスカイラインを作った人物」と呼ばれる故・ジェラルド・ハインズ氏が1957年に創業した。ハインズ氏は、1970年開業の大型ショッピングモール「ギャラリア」をはじめ、ワンシェルスクエア、ペンゾイルプレイス、ウィリアムズタワーなど、ヒューストンを代表する不動産を多数手掛けたことで知られる。

(注)オースティン都市圏の人口は、2010年の173万人から2020年の230万人へ10年で57万人増えた(米国勢調査局)。増加率32.9%は、2010年時点の人口100万人以上の都市圏では全米1位の伸び。オースティン周辺への最近の本社移転例は、2020年12月発表のオラクル、2021年10月発表のテスラ(2021年10月8日記事参照)がある。また、サムスン電子は2021年11月、オースティン近郊に半導体工場の建設計画を発表(2021年11月24日記事参照)。オースティンにあるテスラの電気自動車(EV)工場ギガテキサスでは、2021年末に生産が始まった。

(桜内政大)

(米国)

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