米テスラのマスクCEO、テキサス州への本社移転表明

(米国)

ヒューストン発

2021年10月08日

米国の電気自動車(EVメーカー)のテスラ(本社:カリフォルニア州パロアルト)のイーロン・マスク最高経営責任者(CEO)は10月7日、本社をテキサス州に移す考えを表明した。オースティン市近郊で2020年から建設中のEV工場ギガテキサスでリモート開催した年次株主総会で述べたとメディア各紙が報じている。

カリフォルニア州からテキサス州へ、新たな大企業の本社移転がまた実現する。2020年12月にはオラクルがオースティンに、ヒューレット・パッカード・エンタープライズがヒューストン近郊に、それぞれ本社移転を表明していた。

マスクCEOは同時に、カリフォルニア州での活動を拡大し続けることも表明した。「フリーモントとギガネバダ(のEV工場)での生産を50%増やすつもりだ」としている。カリフォルニア州の家賃高騰で住宅コストを払うことが難しいことに触れ、ベイエリアで事業規模を拡大するには限界があるとも述べている(「CNBC」10月7日)。

テキサス州のグレッグ・アボット知事は即日、自身のツイッターで「ローンスター・ステート(テキサス州の通称)は機会と革新の地。ようこそ」と歓迎した。オースティン市のスティーブ・アドラー市長も「テスラはオースティンが必要とするクリーン製造、ミドル・スキル(注)の雇用を創出するテック企業だ」と歓迎した。

テキサス州でのマスク氏の存在感はうなぎ上りだ。テスラは2020年7月、ギガテキサスの建設を表明し(2020年7月28日記事参照)、早ければ2021年内にもEV製造が見込まれる。2022年にかけて州中央部で1万人以上の新規雇用が期待されている。マスクCEOは2020年12月、カリフォルニア州からテキサス州に移住したことを明らかにした。また、州の南端、メキシコとの国境付近にあるボカチカでは、マスク氏がCEO兼最高技術責任者(CTO)を務めるスペースXの施設で宇宙船の製造、発射実験が繰り返されている。

写真 テキサス州南端のスペースX打ち上げ実験場(ジェトロ撮影)

テキサス州南端のスペースX打ち上げ実験場(ジェトロ撮影)

(注)高卒以上大卒未満で一定の訓練を受けた労働者。

(桜内政大)

(米国)

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