中央銀行が外貨の優先配分先や取り扱い方法を変更

(エチオピア)

アディスアベバ発

2022年01月27日

エチオピア中央銀行は、2021年12月1日付で「外貨配分の透明性確保と外国為替管理」指令(Directive No. FXD/77/2021PDFファイル(外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます))を改定した。改定は、2020年の指令(No.FXD/67/2020)以来となる(2020年12月10日記事参照)。同日付で施行されている指令では、外貨が優先配分される3つの区分(第1優先から第3優先まで)に品目と外貨の配分割合の改定があったほか、輸入者が外貨申請時に銀行に差し入れる金額の水準や市況変動時の価格変更の取り扱いなどが新たに規定に加わった。

外貨配分では、銀行が利用可能な外貨の50%以上を優先分野に振り向ける必要がある。優先分野に振り向けられた外貨は、さらに第1優先分野に15%、第2優先分野に45%、第3優先分野に40%が配分される(6条1項の1)。

優先分野の区分では、第1優先分野は、これまでの医薬品(試薬を含む)に、食用油原料と液化石油ガス(LPG)が加わった。第2優先分野は、農業投入物(肥料、種子、農薬、化学品)と工業投入物(原材料、化学品)で前回から変わらない。第3優先分野は、LPGが第1優先分野に繰り上がった以外の変更はみられない。第3分野の最新の10区分は以下のとおり。

(a)自動車オイル、潤滑剤

(b)農業投入物・機械(灌漑ポンプ、飼料、機械・機器、トラクター・収穫用機械とスペアパーツ、畜産品種)

(c)医療製品(検査機器、医療機械・機器)

(d)工業機械・機器、スペアパーツ、付属品

(e)乳幼児栄養食品

(f)建設業者の自己使用のための補修部品(5万ドル未満のもの)

(g)教育資材(問題集、ボールペン、鉛筆、印刷用紙)

(h)利益送金、配当金送金

(i)外国航空会社の超過荷物収入

(j)外国投資企業による株式譲渡や清算

今回の変更では、製造業と農業従事者からの求めに応じて、生産停止を回避するための緊急補修部品の輸入に外貨を割り当てることが市中銀行の頭取の権限として認められた(6条2項)。中央銀行には、地方を含む行政府の個別必要性に応じた優先配分を認める権限も規定された(6条3項)。このほか、優先分野と別に、必要に応じて都度、外貨支出できる分野も規定された(6条4項)。この中には、コンサルティング料、手数料、据付料、特許使用料(iii-a)、通信、衛星利用料(iii-d)、荷役取扱料(iii-i)、品質・数量補償に係る費用(iii-k)、中央銀行が認めた外国借入支払い元本・利子(iv)、外国従業員への給与支払い(v)が含まれる。

輸入信用状(L/C)の開設には、輸入者(ただし、製造業は除く)が銀行に前金30%を差し入れる必要があり(7条3項)、非優先分野の商品輸入の場合、見積もり金額の50%以上を差し入れる(7条6項)。外貨承認の長期化に伴い国際価格が変更となる場合、優先品目では3カ月、非優先品目では6カ月を超えた場合、全体の金額が変わらない限りは輸入申請した品目内で数量調整する変更は可能(7条10項)だ。外貨申請から承認までに単位価格が5%を超えて値上がりした場合、その理由が国際市況によるならば、その証明を提示することによって市中銀行は価格変更を認めることができる(7条11項)。

(関隆夫)

(エチオピア)

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