広州市初の全自動運転路線バスが運行開始

(中国)

広州発

2022年01月18日

自動運転スタートアップ企業の文遠知行(WeRide)とバスメーカーの宇通グループは1月7日、中国・広州市の黄埔区国際生物島で全自動運転による路線バスの定時運行サービスをスタートした。これまで島内では、WeRideの自動運転システムを搭載した無人タクシー(RoboTaxi)が運行されていたが(2020年12月28日記事参照)、全自動運転バスの導入は広州市内で初となる。

自動運転バスには電気自動車を使用。ハンドルやアクセル、ブレーキは搭載していない。WeRideが開発した自動運転ソリューションにより、人や車が行き交う都市部の複雑な道路状況において、朝夕のラッシュ時や悪天候の日などでも自動運転を実現した。最高時速は40キロに抑えて運行する。また、補助要員が同乗して安全を確認しており、緊急時には車内の非常ボタンでブレーキをかけることができる。

写真 自動運転バスの運行の様子(WeRide提供)

自動運転バスの運行の様子(WeRide提供)

写真 自動運転バスの車内の様子(WeRide提供)

自動運転バスの車内の様子(WeRide提供)

自動運転バスは、平日の午前8時~午後10時、土日の午前9時~午後6時に、10分間隔で運行する。定員は8人で、運賃は無料。地下鉄駅を起点に、島の北側を周回するルートと南側を周回する2路線がある。最初の週末となった8、9日の2日間では、2路線で300回以上の乗降が行われ、延べ2,400人以上が利用した。

乗客は、WeRide GoというアプリやWeChatの公式アカウントで運行情報を知ることができ、車内でも音声やディスプレーなどを通じてリアルタイムで道路状況などの情報が伝えられる。

WeRideは、今回のサービス開始に先立ち、広州市、河南省鄭州市、江蘇省南京市で1年以上にわたり公道での実証実験を行ってきたほか、2021年4月からは社員向けの通勤用車両としても試験運行を重ねてきた。同年6月に広州市内で新型コロナウイルスの市中感染が拡大した際には、ロックダウン地域の住民に20日間で延べ500回以上生活に必要な緊急物資を運搬し、その実績が評価されていた(2021年6月18日記事参照)。

全自動運転バスが運行を開始した広州国際生物島は、数百社の企業が進出しており、人気の観光スポットでもある。住民や観光客の移動の足として、当該バスの活用が進むことが期待される。

(盧真)

(中国)

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