米住居費の高騰が地域問題として顕著に、米シンクタンク調査

(米国)

米州課

2022年01月19日

米国のシンクタンク、ピュー・リサーチ・センターは1月18日、米国の適正価格の住宅供給に関する世論調査結果(注)の詳細を発表外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますした。

居住地域の問題に関する調査結果が12月に発表されており、49%が適正価格の住宅が供給されないことを「大きな問題」と回答した。2018年の39%より10ポイント増加している。「大きな問題」と回答した割合は、薬物依存(35%)や新型コロナウイルスの経済的影響(34%)などを上回り、住宅価格の問題は他の地域課題と比べてより深刻な問題と認識されていることが分かった。

西部、都市部でより深刻な問題とみられる

今回の調査報告では、人種や年齢、居住地域の観点から分析している。適正価格の住宅が供給されないことを「大きな問題」と答えた割合を人種別にみると、白人は44%だったのに対し、黒人は57%、ヒスパニック系とアジア系はともに55%と、ともに白人より10ポイント以上高かった。年齢別には、若年層(18~29歳、30~49歳でいずれも55%)で半数を超えが、50~64歳では44%、65歳以上では39%だった。地域別では、西部(69%)が最も高く、次いで北東部49%、南部44%、中西部33%となった。また、都市部に住む人の63%が「大きな問題」と答え、郊外(46%)や地方(40%)に住む人よりも認識が厳しかった。

党派別では、民主党支持者の59%が「大きな問題」と回答した一方、共和党支持者は36%で、20ポイント以上の開きがある。この回答割合について、2018年の調査結果と比べると、民主党支持者は13ポイント上昇した一方、共和党支持者は6ポイントの上昇にとどまった。

米国では、12月の消費者物価指数(CPI)上昇率が前年同月比7.0%と、約39年半ぶりの高い伸びを記録するなど、物価上昇が顕著となっている(2022年1月13日記事参照)。住宅市場では、資材や人手の不足などにより需給が逼迫していることに伴い、住居費の上昇率が12月に前年同月比4.1%に達し、4カ月続けて伸びが加速している。

(注)実施時期は2021年10月18~24日。回答者は全米の成人9,676人。同調査では、新型コロナウイルス感染拡大が米国の地域社会に与えた影響についても聞いており、調査結果については2021年12月20日記事参照

(甲斐野裕之)

(米国)

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