欧州医薬品庁、2回目のブースター接種の早期実施には懐疑的な立場

(EU)

ブリュッセル発

2022年01月13日

EUの医薬品規制当局である欧州医薬品庁(EMA)は1月11日、新型コロナウイルスのワクチンや治療薬に関する定例会見で、1回目のブースター接種(3回目のワクチン接種)から4カ月程度の短い間隔での2回目のブースター接種(4回目のワクチン接種)の実施に懐疑的な姿勢を示した。

EMAのワクチン戦略部門の責任者であるマルコ・カバレリ氏は会見で、1回目のブースター接種の重要性を強調する一方で、同一のワクチンを用いた2回目のブースター接種の実施に関しては、現時点ではこれを支持するデータはないとした。その上で、「追加的なブースター接種は緊急対策の一部として検討し得るが、短期間での繰り返しのワクチン接種は、持続可能な長期戦略にならない」と述べた。3~4カ月ごとにブースター接種を実施した場合、過剰な負荷を免疫システムに加えることになり、十分な免疫反応が得られなくなる可能性が懸念されるとし、また、継続的なブースター接種の実施は、住民の疲弊につながる危険性があると指摘した。こうしたことから、十分なデータが集まっていないとしながらも、今後ブースター接種を3~4カ月ごとの間隔で継続的に実施することは難しいとした。ただし、免疫不全疾患のある人などに対しては、2回目のブースター接種の実施をただちに検討する必要があるとした。

こうした発言の背景には、初回のワクチン接種の完了(2回目のワクチン接種)から1回目のブースター接種までの間隔を短縮させる動きがEU域内で続いていることがある。EUでは当初、欧州疾病予防管理センター(ECDC)が、初回のワクチン接種完了から6カ月以上を経過した全ての成人を対象にした1回目のブースター接種の実施の検討を加盟国に要請していた(2021年11月26日記事参照)。また、ワクチン接種などに関するEU共通の枠組みである「EUデジタルCOVID証明書」においても、初回の接種の有効期限を9カ月(6カ月と3カ月の猶予期間)とすることで合意し(2021年12月23日記事参照)、域内でのブースター接種を推進するとしていた(2021年12月20日記事参照)。しかし、域内でのオミクロン株による急速な感染拡大を受けて、初回のワクチン接種の完了から1回目のブースター接種までの間隔を3カ月としたフランスやドイツを筆頭に、多くの加盟国が1回目のブースター接種までの間隔を4カ月前後に前倒ししている。

(吉沼啓介)

(EU)

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