EUデジタルCOVID証明書の有効期限を9カ月に正式決定

(EU)

ブリュッセル発

2021年12月23日

欧州委員会は12月21日、新型コロナウイルスのワクチン接種や、検査結果、陽性からの回復の各証明書に関するEU共通の枠組み「EUデジタルCOVID証明書」のワクチン接種証明書の有効期限に関する委任規則外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますを採択した(プレスリリース外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます)。翌22日付でEU官報に掲載し、これにより、EUにおけるワクチン接種証明書の有効期限は初回の接種(注1)の最後の接種日から9カ月(270日間経過した日まで)に決定した。

有効期限を9カ月とする案は、欧州委が11月25日に提案した、EU域内の移動に関するEU理事会(閣僚理事会)勧告案(2021年11月26日記事参照)の一部。同勧告案はまだEU理事会では採択されていないが、12月16日の欧州理事会(EU首脳会議)でEU首脳は、加盟国間でワクチンの有効期限を一致させることの重要性を指摘し、欧州委に委任立法を進めるよう要請していた(2021年12月20日記事参照)。

実際に9カ月の有効期限がワクチン接種証明書に適用されるのは、2022年2月1日からとなる。欧州委によると、各国のワクチン接種証明書の期限設定をシステムに取り込み、また、ブースター接種を各国で進める時間を考慮して、開始日を2月1日に定めた。

今回の委任規則は、初回の接種の有効期限を規定したもので、ブースター接種の有効期限を設定するものではない。欧州委は、ブースター接種後の抗体の持続期間など有効性については、現時点では十分なデータが得られていないと説明した。

第三国のワクチン証明書との相互承認も進む

欧州委は同じく21日、EUのCOVID証明書と、モンテネグロ、台湾、タイ、チュニジア、ウルグアイの証明制度との同等性を認めて相互承認を決定した。これにより、COVID証明書は27のEU加盟国と欧州経済領域(EEA)に参加するアイスランド、リヒテンシュタイン、ノルウェーの3カ国に加え、計30の第三国・地域(注2)と相互承認が設定されたことになる。欧州委のティエリー・ブルトン委員(域内市場・産業・デジタル単一市場担当)は「EUデジタルCOVID証明書はグローバルスタンダードになった」と成果を強調した。

(注1)2回接種型のワクチンの2回目の接種日、1回接種型のワクチンの接種日に加え、回復者が回復後に2回接種型のワクチンを1回接種した場合の接種日も該当する。

(注2)同等性が早期に認定された国・地域順に、スイス、サンマリノ、バチカン市国、トルコ、ウクライナ、北マケドニア、アンドラ、モナコ、アルバニア、パナマ、モロッコ、フェロー諸島、イスラエル、アルメニア、英国、セルビア、ニュージーランド、モルドバ、ジョージア、トーゴ、シンガポール、エルサルバドル、アラブ首長国連邦(UAE)、レバノン、カーボベルデ、ウルグアイ、チュニジア、タイ、台湾、モンテネグロの30カ国・地域(2021年12月21日時点)。

(安田啓)

(EU)

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