2022/2023年度のGDP成長率を6.9%と予測、オミクロンや物価上昇などがリスク

(バングラデシュ)

ダッカ発

2022年01月18日

世界銀行は1月11日、2022年の南アジア全体の経済成長率を7.6%と予測外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますすると発表した。同報告書の中で、バングラデシュについての2021/2022年度(2021年7月~2022年6月)の経済成長率を6.4%、2022/2023年度(2022年7月~2023年6月)を6.9%と予測。主要輸出品である衣料品の順調な輸出状況(2022年1月12日記事参照)や輸出増加による国内の雇用市場の回復、在外バングラデシュ人労働者による自国送金(郷里送金)の増加を背景とした好調な内需が経済成長に寄与したと分析している。今後は、新型コロナウイルス・オミクロン変異株の感染拡大やさらなる物価上昇などが懸念材料として指摘されている。

南アジアは2019年まで順調な経済成長を遂げていたが、新型コロナウイルスの影響により、2020年は経済成長が停滞した。しかし2021年は、バングラデシュ、インドおよびパキスタンにおける景況の見通しを受け、南アジアは7.0%と経済成長が回復、2022年は7.6%と予測されている。インドにおいては2021/2022年度(2021年4月~2022年3月)に8.3%、2022/2023年度(2022年4月~2023年3月)は8.7%と高い経済成長率が予測され、地域全体の経済成長を牽引するかたちになっている。バングラデシュは2021/2022年度に6.4%、2022/2023年度は6.9%の高い経済成長率が見込まれており、その背景には、サービス産業の活性化や堅調な既製服の輸出による企業収益の増加と労働者の収入の安定が、経済成長の原動力となる国内消費の好況を支えていることがある。

しかし、南アジア全体のリスクとしては、オミクロン株の感染拡大やサプライチェーンへの影響、エネルギーコストの上昇、自然災害、アフガニスタン情勢による不測の事態による影響、インフレの進行、国内借り入れコストの上昇などが挙げられており、バングラデシュにとっても不安定材料となっている。

バングラデシュでは2022年1月以降、再度、新型コロナウイルスの感染者数が急増し、1月13日から政府による感染対策にかかる措置が開始されている(2022年1月12日記事参照)。バングラデシュも各国と同様に例外なく、経済・社会活動および感染対策の両立のかじ取りが求められることになる。

(安藤裕二)

(バングラデシュ)

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