中国外交部、ミサイル技術拡散を理由とする米国制裁の取り消し要求
(中国、米国)
北京発
2022年01月31日
米国政府は1月21日、ミサイル技術拡散を理由に、中国航天科技集団第一研究院と、中国航天科工集団第四研究院、保利科技、それらの子会社・下部機関などに対して輸入禁止などの制裁を科すと発表した。中国外交部の趙立堅報道官は同日の定例記者会見で、今回の制裁について「米国は政治的目的により、さまざまな口実で中国企業に制裁を加えている。これは典型的な『いじめ』であり、中国側は強烈な不満と断固とした反対を表明する」と述べた。
また、ミサイル技術の拡散については「中国政府は一貫して大規模破壊兵器とその輸送手段の拡散に反対してきた。中国は自国の拡散防止政策や関連法律・法規により、ミサイルとその関連技術・物資に対して厳格な輸出制限を実施している。中国と関係国の正常な協力は国際法に何ら違反するものではなく、大規模破壊兵器の拡散問題にも関与していない」と自国の正当性を主張した。さらに、米国が自身の同盟国にミサイル技術を支援していることや、オーストラリアに巡航ミサイル「トマホーク」の販売を計画していることを指摘。中国への批判はダブルスタンダードを採用するものと非難し、制裁を取り消すよう要求した。
米政府は人権侵害を理由とした中国企業・研究機関の証券投資禁止・輸出管理対象への追加(2021年12月17日記事参照)、新疆ウイグル自治区からの禁輸法案へのバイデン大統領署名(2021年12月24日記事参照)など、引き続き中国政府・企業への制裁を強めている。また、中国IT大手アリババグループのクラウド事業について、国家安全リスクに基づく調査を開始したと報じられており(ロイター1月18日)、制裁が今後、データ取り扱いなどの分野に及ぶ可能性もある。
(河野円洋)
(中国、米国)
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