日米首脳、経済版2プラス2の創設に合意

(米国、日本)

ニューヨーク発

2022年01月25日

岸田文雄首相と米国のジョー・バイデン大統領は1月21日、バーチャル形式の首脳会談を開催した(外務省発表日本語要旨外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますホワイトハウス発表英語要旨外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます)。「自由で開かれたインド太平洋」の実現に向けて緊密に連携していくとともに、オーストラリア、インド、ASEAN、欧州などの同志国との協力を深化させることで一致した。また、両首脳は閣僚レベルの日米経済政策協議委員会(経済版2プラス2)の立ち上げに合意した。

経済版2プラス2には、日本側は林芳正外相と萩生田光一経済産業相、米国側からアントニー・ブリンケン国務長官とジーナ・レモンド商務長官が参加する。米政府高官によると、経済版2プラス2で扱う議題はまだ確定していないが、輸出管理やサプライチェーン、技術投資、基準設定など、いわゆる経済安全保障の分野の協力が取り上げられる見込みだ。経済面ではこのほか、2021年4月の菅義偉首相(当時)の訪米時に首脳間で交わした「日米競争力・強靱性(コア)パートナーシップ」などに基づき、日米間の経済協力と相互交流を拡大・深化させていくことで一致したとしている(2021年4月19日記事参照)。両首脳はさらに、経済面の日米協力をインド太平洋地域に拡大していくことを確認するとともに、岸田首相は、インド太平洋経済枠組み(IPEF)を含む地域への米国のコミットメントを歓迎したとしている。IPEFは、バイデン大統領が2021年10月末の東アジアサミット(バーチャル形式)で初めて言及した構想だが、バイデン政権はまだ詳しい内容を発表しておらず、同盟・友好国との協議を踏まえて中身を形成していくものとみられる。

このほか、両首脳は最近の地域情勢として、(1)東シナ海や南シナ海における一方的な現状変更の試みや経済的威圧など中国をめぐる諸課題への対応、台湾海峡、香港情勢、新疆ウイグル自治区での人権状況、(2)北朝鮮による核・ミサイル開発と拉致問題、(3)ウクライナ情勢に関して意見交換を行い、いずれの課題でも、日米および、場合によっては他の友好国・パートナー、国際社会と緊密に調整を続けるとした。

岸田首相は2022年前半にバイデン大統領の訪日を得て、日本・米国・オーストラリア・インド4カ国〔クアッド(QUAD)〕による首脳会談を主催する考えを伝えた。首脳会談後に行われた米政府高官の記者会見で、同高官は「バイデン大統領はその提案を承諾したと理解している」と述べており、時期は今春後半を予定している。

(磯部真一)

(米国、日本)

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