カナダ中銀、政策金利を据え置くも、3月の利上げを示唆

(カナダ)

米州課

2022年01月27日

カナダ中央銀行は1月26日、政策金利である翌日物金利の誘導目標を0.25%に据え置いたことを発表外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますした。また、経済全体のスラック(需給の緩み)は吸収されたとし、今後利上げに踏み切る必要があると述べた。早ければ3月の会合で利上げを行う可能性がある。

カナダ中銀は、新型コロナウイルス感染拡大の影響により2020年3月以降、3回の利下げを実施し(2020年3月30日記事参照)、これまで低金利を維持してきた。経済刺激策として実施された国債を大量購入する量的緩和策は2021年10月に終了した。

カナダの2021年12月の消費者物価指数(CPI)は30年ぶりの高水準を記録し(2022年1月21日記事参照)、今回の会合で利上げに踏み切るとの見方が多かった中、カナダ中銀は声明で、「利上げのタイミングとペースは、2%のインフレ目標の達成に向けた中銀のコミットメントに導かれる」と述べた。また、少なくとも利上げを開始するまでは、国債の保有量をほぼ一定に保つ予定とした。インフレ率については、2022年前半は5%近くで高止まりし、供給不足が解消されるにつれ、2022年末までに3%程度まで急速に低下するとの予想を示した。

カナダ中銀は、雇用環境が大幅に改善していることも指摘し、同日に発表した1月の金融政策報告書PDFファイル(外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます)の中で「労働市場指標、景況感調査、コアインフレ指標など幅広い指標は、経済のスラックが吸収されたことを示唆している」とした。

カナダ中銀のティフ・マックレム総裁は同日に行われた記者会見で、「(今回の決定は)金融政策の需要な転換で、今後、金利が上昇基調に転じることを示唆している」と述べたほか、「数回の利上げが必要だが、進捗を評価するために一度停止することもあり得る」とした。一方、マネックス・カナダの外国為替アナリスト、サイモン・ハービー氏は今回の決定について「政策の失敗だ」とし、「利上げを待つことによって、銀行は短期的なインフレ期待をあおり、住宅市場の下火を燃え上がらせるリスクがある」と指摘した。

(大塚真子)

(カナダ)

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