カナダの12月CPIは前年同月比4.8%上昇、30年ぶりの大幅な伸び

(カナダ)

米州課

2022年01月21日

カナダ統計局が1月19日に発表した2021年12月の消費者物価指数(CPI)は前年同月比4.8%上昇外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますし、変動の大きいエネルギーと食料品を除いたコア指数は3.4%上昇した(添付資料図参照)。各指標の前年同月比の伸びは、CPIが1991年9月(5.5%)以来、コア指数は2003年3月(3.6%)以来で最大だった。また、2021年の年平均は3.4%上昇外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますとなり、1991年(5.6%)以来30年ぶりの大幅な伸びを記録した。前月比では、CPIとコア指数ともに0.1%低下した。

項目別に前年同月比でみると、主要8項目全てにおいて上昇し、特に高い伸びを示した項目は、輸送サービス8.9%上昇(前月:10.0%)、住居費5.4%上昇(4.8%)などだった(添付資料表参照)。また、生育期の天候不順とサプライチェーンの混乱により、食料品は5.2%上昇と前月(4.4%)から伸びが加速した。サービスは3.4%上昇で前月(2.9%)より伸びが加速した。一方、ガソリン価格が33.3%上昇と前月(43.6%)から伸びが鈍化したことが要因となり、財全体は6.8%上昇と前月(6.9%)を下回った。品目の詳細をみると、サプライチェーンの混乱が耐久財の価格上昇にもつながっており、乗用車は7.2%上昇(6.1%)、家電製品は8.9%上昇(6.2%)となったほか、建築費の高騰や頻繁な異常気象の影響により住宅ローン保険が9.3%上昇と前月(5.0%)より伸びが加速した。

同局は、新型コロナウイルスの感染拡大が商品やサービスの価格に影響を与える重要な要因になっているとし、インフレ圧力は世界的なサプライチェーンの制約と経済再開に伴う消費者の繰り延べ需要から生じているとしている。

今回の結果は、市場予想と一致し、カナダ中央銀行が設定するインフレ目標レンジ1~3%を上回るのは9カ月連続。これを受け、カナダ中央銀行は近く、新型コロナウイルス感染拡大以降初の利上げを行う、との見方が強まっている(「グローブ・アンド・メール」紙1月19日)。

インフレ率の上昇について、BMOキャピタル・マーケットのシニアエコノミスト兼ディレクターのサル・グアティエリ氏は「カナダのインフレはピークに近づいている」と述べた。また、カナダ・ロイヤル銀行のシニアエコノミスト、ネーサン・ジャンゼン氏は「インフレ率は4.9~5%と上限付近を推移する可能性がある」としている(CTVニュース1月19日)。

(大塚真子)

(カナダ)

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