2020年の米国平均寿命は前年比1.5歳短縮の77.3歳、CDC発表

(米国)

ニューヨーク発

2021年07月28日

米国疾病予防管理センター(CDC)は7月21日、2020年の米国の平均寿命データ暫定版PDFファイル(外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます)を発表した(注)。このデータによると、米国民全体の平均寿命は前年より1.5歳縮まり、77.3歳となった。性別でみると、女性は前年から1.2歳縮まって80.2歳、男性は1.8歳縮まって74.5歳となった。寿命が縮まった要因としては、新型コロナウイルスによる死者増加が圧倒的に大きく、男性は68.7%、女性は79.8%を占めた。

人種別では、ヒスパニック系の寿命の減少幅が最も大きくて前年から3.0歳縮まり、78.8歳となった。その押し下げ要因の90%が新型コロナウイルスだった。次いで減少幅が大きかったのが黒人で、前年から2.9歳縮まって74.7歳。押し下げ要因の59.3%が新型コロナウイルスだった。

2020年の米国人死亡者の11.2%を占めた不慮の事故による死亡者の大半は、薬物の過量摂取が要因だったが、これらは捜査を必要とする案件で死因を推定するまでに時間を要するため、その件数が過少に記録される可能性があるとしている。

鎮痛剤「オピオイド」による薬物中毒の訴訟は和解へ

CDCが7月14日に発表した薬物中毒死亡者数暫定版外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますによると、米国の2020年の薬物中毒による推定死者数は前年比29.4%増の9万3,331人だった。州別にみると、最も上昇率の高かったのはバーモント州(57.6%増)だった。死因となった薬物については、鎮痛剤として処方される医療用麻薬「オピオイド」が最多だった。

過去20年で50万人が犠牲となった医療用オピオイドの生産・販売による中毒問題については、米国全体で数千件単位の訴訟がジョンソン・エンド・ジョンソンと卸業者3社に対して起こされているが、その解決に向けた合計260億ドルに及ぶ和解案が7月21日に発表されている(「ワシントン・ポスト」紙電子版7月21日)。

(注)先住民、アラスカ先住民、アジア系、ハワイとその他大洋州の先住民の死亡証明書には人種や民族に関する誤判別が含まれることがあり、平均寿命を測る上で正確さが欠けるとの理由から、これらの住民に関する推計値は発表されていない。

(吉田奈津絵)

(米国)

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