2021年の正規雇用増加数は84万人で過去最高を記録

(メキシコ)

メキシコ発

2022年01月13日

メキシコの社会保険庁(IMSS)は1月5日、2021年12月末時点のIMSS登録雇用者数(正規雇用数)を2,062万148人と発表した(添付資料表参照)。2020年12月末時点と比較すると84万6,416人増加し、各年別にみた年間の増加幅としては過去最高の増加数となった(添付資料図参照)。「新型コロナ禍」による需要減に苦しんだ2020年は、12月末時点の正規雇用数が前年12月末比64万7,710人減という歴史的なマイナス幅を記録しており、その大幅な落ち込みを取り戻すかたちで大きく増加した。

しかし、各月末時点のIMSS登録雇用者数(ストック)をみると、2021年の通年(1~12月)の平均値は2,031万4,005人で、2019年の2,044万29人には届いておらず、雇用環境が新型コロナ危機前の水準に完全に戻ったわけではない。さらに、若年人口が多いメキシコでは、経済活動人口の年間増加数は87万5,244人(2011~2019年の平均値)に達するため、2021年(年間)の正規雇用増加数では2020年に消失した正規雇用ポストと新たに労働市場に参入した労働者の双方を吸収することができず、十分な水準とも言い難い。

年末の減少に際し、大統領は「労働改革の効果」が不十分との見方

IMSSによれば、2021年12月末には前月末比で31万2,902人減少し、そのうち無期限雇用(Permanente)が21万6,319人減、一時雇用(Eventual)が9万6,583人減だった。12月は例年、雇用契約期間満了などにより、正規雇用が減少する傾向にある。2011~2020年の12月末時点の前月末比での正規雇用減少数の平均は29万1,518人だ。

アンドレス・マヌエル・ロペス・オブラドール(AMLO)大統領は、12月に解雇が多く発生する原因について「雇用主が年末一時金(ボーナス)などの支払いを回避するために不当に解雇し、翌年1月に再雇用する実態がある」と問題視し、メキシコ労働社会保障省(STPS)を通じてIMSSや労働住宅基金庁(INFONAVIT)と連名で、雇用主登録をしている企業宛てに文書による注意喚起を行い、人材派遣を原則禁止するため連邦労働法を改正(2021年4月22日記事参照)するなどの措置を取ってきた。AMLO大統領は2022年1月5日の早朝記者会見で、正規雇用のデータを引用し「連邦労働法改正によって問題解決できると思っていたが、まだのようだ」と不満をにじませた。

メキシコ人材企業協会(Amech)会長のヘクトール・マルケス氏は「年末一時金などの支払いを回避するために12月に不当に解雇を行っているというのは正しくなく、たとえ12月に解雇したとしても勤務日数に応じた各手当の支払い義務が残る」とし、「特に一時雇用の減少は契約期間満了に伴う自然なことだ」とした上で、「大切なことは新たに創出される雇用が(インフォーマルではなく)正規雇用として登録されるよう促し、監視することだ」と指摘している(現地紙「エル・フィナンシエロ」2022年1月6日)。

(松本杏奈)

(メキシコ)

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