2021年10~12月の失業率は改善進むも、新型コロナ感染第5波の影響を懸念

(香港)

香港発

2022年01月25日

香港特別行政区政府統計処は1月18日、2021年10~12月期の失業率(季節調整済み、速報値)について、同年9~11月期から0.2ポイント改善の3.9%と発表した(添付資料図参照)。

業種別にみると、主要業種の多くで改善が進んだ。中でも、同年第4四半期(10~12月)の消費マインドの回復を受け、小売り・宿泊・飲食業などの個人消費や観光に関連するセクターは大きく改善。小売業は9~11月期から0.9ポイント改善し5.4%となった。また、前年同期との比較では、5.2ポイント低下した。

香港では2022年初から新型コロナウイルスの感染経路不明なオミクロン型変異株の市中感染が広がり、感染拡大第5波(注)が到来したとされる。こうした中、政府労働・福祉局の羅致光局長は今後の労働市場の見通しについて、「防疫措置の厳格化によって、消費関連セクターの雇用には、短期的に圧力がかかるだろう。しかし、経済対策『防疫抗疫基金』の第5弾(2022年1月18日記事参照)によって圧力は幾分緩和されるとみている。今後数カ月の労働市場の動向は、域内の感染状況と経済の回復ペース次第」とコメントした。

香港中文大学の荘太量准教授は「失業率は3カ月の平均値で算出されることから、(2021年11月から)2022年1月までの失業率は3.9%程度を維持するだろう」との見通しを示した(「香港経済日報」紙1月19日)。

(注)香港では一般的に、2020年1月の新型コロナウイルス感染拡大開始を「第1波」、同年3月中旬以降の輸入症例拡大を「第2波」、同年7月中旬以降と11月下旬以降の域内感染拡大をそれぞれ「第3波」「第4波」と呼んでいる。

(野原哲也)

(香港)

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